ゴルフのプロテストとは? ~プロテストの流れと費用について

プロゴルファーには、トーナメントプレーヤー(TP)とティーチングプロ(TCP)の2種類の資格があります。TPになるためには、ゴルフの技能を重視した「プロテスト」をクリアしなければなりません。また、TCPになるためには、指導技能と広範な知識を有しているかが問われます。他にも、実技の審査、講習会、試験の合格という厳しい過程を経て、はれてTCPに認定されるのです。

本記事では、プロテストについて解説します。

プロテストとは

プロテストは、男女によって、認定する協会が違います。また、男子においては、TPとTCPにおいても認定を受ける協会が異なるので、プロテストを受ける方は注意が必要です。

男子TPの場合(PGA資格認定プロテスト)

男子の場合、認定は日本プロゴルフ協会(JPGA)が行ないます。TPを取得するためのプロテストには、申込年度に16歳以上であれば誰でも申し込みできます。テストの流れは、プレ予選から始まり、1次、2次、最終プロテストと、計4段階の実技を行います。そして、最終プロテストで上位50位タイまでの人が合格となります。

女子TPの場合(LPGAプロテスト)

女子のTP認定は、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が行ないます。プロテストが受けられる年齢は、最終プロテスト開催年度の4月1日時点に満17歳以上と決められています。また、資格条件ではないのですが、推奨ハンディキャップ(HDCP)は、JGA/USGA HDCP インデックス5.0以下となっています。

女子のTPのプロテストには、プレ予選はありません。そのため、1次、2次、最終プロテストの3段階の実技を経て、最終プロテストで上位20位タイまでの人が合格となります。

男子TCPの場合

JGAが認定します。ゴルフ指導技術に優れ、広範にわたるゴルフ知識及びPGA指導要領を取得した者に付与され、ゴルフの普及と発展を目的に活動するための資格です。

性別は問いませんが、受験年度に20歳以上である人が、テストに申し込むことができます。資格取得までの流れは、以下の通りです。

  1. 書類審査
  2. プレ実技審査
  3. 実技審査
  4. 筆記試験・面接審査
  5. ティーチングプロB級講習会を受講

A級資格を取得したい人は、さらにA級講習会を受講します。

女子TCPの場合

認定はJLPGAが行ないます。健全なゴルファーの育成と、ゴルフ技術、ルール及びマナーを研究練磨し、その指導普及を図ることを目的にTCPの育成が行なわれています。

テストに申し込めるのは、受験年度に18歳以上に達する高校卒業程度の学力を有する者です。以下が、資格取得までの流れです。

  1. 書類審査・面接審査
  2. 筆記テスト
  3. プレ実技審査と実技審査
  4. 最終審査とガイダンスを受講

これらを通過すると、TCP B級講習会受講生になることができます。その後、 B級講習会、A級講習会と入会審査を経てTCPとしてJLPGAに入会します。

プロテストの流れと費用

写真提供 = Steven Shircliff / Unsplash.com

冒頭で、トーナメントプレーヤー(TP)とティーチングプロ(TCP)という資格があると紹介しましたが、それぞれ取得の流れと費用が異なります。

流れと、かかる費用について詳しく解説していきます。

トーナメントプレーヤー(TP)

トーナメントプレーヤー(TP)は、男子なら申請年度の時点で16歳以上、女性は開催年度の4月2日時点で満17歳以上を満たしていれば受験可能。資格認定プロテストに合格できれば、晴れてプロとなれます。

男子の場合、プレ予選~3次の最終プロテストを経て、50位タイまでに入っていれば合格。プレ予選~2次は、次に進む条件が成績上位者となっており、実際には上位何位以内に入ればよいかという条件は決まっていません。

また、アマチュア大会の上位者、前年度のプロテスト出場者、関連団体の推薦などがあると、成績上位での通過が免除されることも。

一方、女子の場合は20位タイまでなら合格。ただし、合格といっても実技テストの合格です。

その後に、実技テスト合格者を対象とした新人戦への参加、セミナーの受講を経て会員として登録されなければ、正式なプロゴルファーにはなれません。

各テストの際にかかる受験料を下表にまとめました。

 男子女子
プレ予選64,000円
1次プロテスト81,000~122,000円40,000円
2次プロテスト81,000~180,000円60,000円
最終プロテスト81,000円~237,000円100,000円

さらに、会員登録時に男子は460,000円、女性は600,000円が必要。そして、各テスト開催会場への交通費、テストツアー中の宿泊費・滞在費なども経費としてかかります。

ティーチングプロ(TCP)

ゴルフのティーチングプロ(TCP)の場合は、男女ともに書類審査→プレ実技審査→実技審査→最終審査→講習会→入会のプロセスを経て資格が取得可能。

かかる費用を下表にまとめました。

男子

項目費用
受験料64,000円
プレ審査通過後58,000円
講習会参加費用(前期)401,500円
講習会参加費用(後期)236,500円

女子

項目費用
審査料約20,000円
プレ実技審査料約50,000円
実技審査料約50,000円
最終審査とガイダンス受講料約10,000円
講習会参加費用(初年度)380,000円
講習会参加費用(2年目)550,000円
講習会参加費用(3年目)・認定料440,000円

さらに資格取得後に男子は460,000円、女子は600,000円の入会金が必要です。

プロテストの合格率

ゴルフのトーナメントプレーヤー(TP)は、男性は最終プロテストで上位50位タイ、女性は上位20位タイまでが合格圏内。そのため、受験志願者の人数によって合格率が変わってきます。

また女性の方が、合格となる人数が少ないので、当然合格率は低くなります。

2018年度のTPの合格率は、男子が8.4%、女子が4.6%。そして、2019年度は、男子が10.5%、女子が3.3%でした。

それぞれタイまでが合格圏内なので、2020年度の合格者は男子が51名、女子が22名。2021年度は、男子は昨年度と同じく51人が合格、女子は1名少ない21名でした。

プロテスト受験者の数は、男女とも2000年ごろをピークに、年々下降しているとのこと。JPGAとJLPGAは、毎年、何人のプロテスト受験者がいたかは発表していませんが、2020年はコロナ禍でも女子が600人あまり受験したことが分かっています。そこから計算すると、2020年度の女子の合格率は約35%。2021年度もコロナ禍での実施であったため、受験者はさらに少なかったようです。

そのため、男女ともに2019年度と比較した場合、合格率は若干上がっていることが予想されます。TCPは、男女ともに書類審査、プレ実技、実技、講義受講と進んでいくことで資格が取得できるので合格率は高く、一般的に合格率は約48%といわれています。

合格した注目の選手

2021年度にTPに上位で合格した、それぞれ3名の選手を紹介します。

まず、男子トップ3で合格した選手は、下記のとおり。

  • 1位:村上拓海
  • 2位:遠藤健太
  • 3位:板東寿匡、金田直之

2021年度は北海道・登別CC(7069ヤード、パー71)で最終プロテストが実施されました。

村上拓海選手は、7アンダーで2位の遠藤健太選手に4打差をつけトップで合格。通算11アンダーで273という記録だったとのことです。

村上拓海選手は、3歳の時に父の影響でゴルフを始め、2017年には全国高等学校ゴルフ選手権で優勝しています。

そして、遠藤健太選手はサーティ・ファイブ所属の選手で、アマチュア時代には朝日杯で優勝しており、2018年12月からツアープレーヤー転向したとのこと。さらに、板東寿匡選手は日本大学の現役学生で、日本大学ゴルフ部のホームページに名前が掲載されています。金田直之選手は美里ゴルフセンター所属の選手で、関東高等学校ゴルフ選手権で優勝があるとのことです。

続いて、女子トップ3で合格した選手は、下記のとおり。

  • 1位:尾関彩美悠
  • 2位:髙久みなみ
  • 3位:泉田琴菜

女子の最終プロテストは京都・城陽CC(6400ヤード、パー72)で実施されました。

トップ合格した尾関彩美悠選手は、今年の日本女子アマチュア選手権での優勝者であり、岡山作陽高に通っている現役の高校生。この岡山作陽高は渋野日向子選手ら、何人もの女子トッププロを輩出した高校で、本年度のテストでも同校出身者が尾関彩美悠選手以外にも3名合格しています。

  •   5位:丹萌乃
  • 15位:須江唯加
  • 20位:成澤祐美

髙久みなみ選手は、ゴルフ一家の美人三姉妹の末っ子として有名なことに加え、多くの大会で優勝、上位入賞を果たしている選手です。2019年度と2020年度にもプロテストを受けたのですが落選。3度目の挑戦でついに合格となりました。

泉田琴菜選手も2021年度が3度目のチャレンジでした。泉田琴菜選手は中学卒業後、海を渡ってアメリカのIMGアカデミーにゴルフ留学。その留学後に出場した新潟県女子アマチュアゴルフ選手権で、優勝を果たしています。

まとめ

プロテストについて解説してきましたが、TP・TCPいずれにしても合格率は低く、費用もかかる大変なテストです。

ゴルフが好きで生涯の仕事としてやっていきたい覚悟があれば、やりがいのある挑戦になると思います。この記事が、ゴルフのプロテストを目指す方の参考になれば、幸いです。

(TOP写真提供 = Luis Villasmil / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

トーナメントプレーヤー入会の流れ (PGAホームページ)

2021年度 プロテスト (JLPGAホームページ)

ティーチングプロ資格認定制度 (PGAホームページ)

ティーチングプロフェッショナル (JLPGAホームページ)

2021PGA資格認定プロテスト(PGA)

最終プロテスト(JLPGA)

女子プロテスト合格者21人全一覧 渋野日向子出身、岡山・作陽高から一挙4人(THE ANSWER)

ゴルフ男子プロテスト51人が合格、村上拓海が2位に4打差つけ1位(日刊スポーツ)

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