サッカーというと、人気スポーツの1つですが、その競技人口はどれくらいなのでしょうか?
日本と世界各国の競技人口について調べてみました。
また、サッカーの競技人口の多さとサッカーの世界ランキングには関係があるのでしょうか?
データを基に、サッカーの競技事情について考えてみます。
日本のサッカー競技人口はどれくらい?
日本のサッカー競技人口については、JFAと日本生産性本部が選手登録数とサッカー推計人口の数字を発表しています。
それによると、JFAに選手登録している公式試合を戦う選手数は、ここ10年間、約90万人というところ。
そして、小中高校の部活動、大学のサークルや地域のサッカーチームなどを含めた年1回以上プレーしている実施率を人口に乗じた数字であるサッカーの競技人口は、2012年には600万人に迫る数字を記録したものの、10年平均では約450万人です。
ちなみに、総務省の調べによると、日本の競技スポーツ種目の中での競技人口は、サッカーは7番目であり、1位はボウリング、2位は水泳、3位はゴルフ、4位は野球、5位は卓球、6位はバドミントン、8位以下はテニス、バレーボール、バスケットボールとなっています。
調査年度 | 2010 | 2012 | 2014 | 2016 | 2018 |
選手登録数(万人) | 90 | 95 | 96 | 93 | 88 |
増減 | – | +5 | +1 | -3 | -5 |
サッカー推計人口(万人) | 478 | 582 | 415 | 353 | 436 |
増減 | – | +104 | -167 | -62 | +83 |
年1回以上実施率(%) | 4.6 | 5.6 | 4.0 | 3.4 | 4.2 |
増減 | – | +1.0 | -1.6 | -0.6 | +0.8 |
※推計人口は、実施率を住民基本台帳の成人人口に乗じて算出。(笹川スポーツ財団のデータから)
※選手登録数は、JFAの選手登録者数。(JFA.jp データベースから)
国別サッカーの競技人口ランキング
国別のサッカー競技人口については、FIFAのウェブサイトで調べることが出来ます。
トップからの順位と国連の人口統計からの国別の総人口とを比べて、割合を出したのが下の表になります。
これを見ると、総人口の多い中国やインド、アメリカに競技人口が多いことが分かりますが、特筆すべきはドイツの総人口に占める競技人口の割合が約20%になる点でしょう。
また、アメリカは割合が高いにも関わらず、やや世界ランク的に伸び悩んでいますが、その理由として、アメリカには野球(MLB)、アメリカンフットボール(NFL)、バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)の4大スポーツがあり、運動能力のある選手がサッカー競技に行かず分散してしまうということが挙げられます。
従来、「総人口に占めるサッカー競技人口が5%を越えてこないとサッカー強豪国の仲間入りはできない」といわれてきましたが、この表から、競技人口の割合が5%以上の国々は、サッカー強豪国として知られている国々となっていることが分かります。
また、現在は競技人口の割合は低いながらも、競技人口の多い中国やインド、インドネシア、ナイジェリア、バングラデシュなどは、強くなる条件を満たしてくれば強豪国となる将来性を秘めています。特に、潤沢な資金がある中国は、本格的な選手育成をすることで強豪国となるでしょう。
ちなみに、世界で一番競技人口が多いスポーツ種目はバスケットボールであり、2位はサッカー、3位はクリケット、4位はテニス、5位はゴルフといわれています。
競技人口順位 | 国名 | 総人口(百万人) | 競技人口(千人) | 総人口に占める競技人口の割合(%) | 各国のサッカーの特徴 |
1 | 中国 | 1,433 | 26,166 | 1.82 | 潤沢な資金でスター選手や有名監督招へい |
2 | アメリカ | 329 | 24,472 | 7.43 | 他スポーツでのノウハウを駆使し盛り上げ |
3 | インド | 1.366 | 20,587 | 1.50 | サッカー熱は高まりつつありこれから |
4 | ドイツ | 83 | 16,308 | 19.64 | 世界最高峰のリーグ・ブンデスリーガを持ち、観客数もトップクラス |
5 | ブラジル | 211 | 13,197 | 6.25 | ヨーロッパに選手輩出、サッカー熱高い国 |
6 | メキシコ | 127 | 8,480 | 6.67 | サッカースポンサー多く、観客数世界4位 |
7 | インドネシア | 270 | 7,904 | 2.92 | サッカー熱は高いが世界レベルの選手は少ない |
8 | ナイジェリア | 200 | 6,654 | 3.32 | 身体能力が高く、世界レベルの選手を輩出 |
9 | バングラデシュ | 163 | 6,280 | 3.85 | これからトップを目指す |
10 | ロシア | 145 | 5,803 | 4.00 | リーグは極寒で秋冬制、リーグレベルは落ちる |
11 | イタリア | 60 | 4,980 | 8.30 | 世界最高峰のリーグ・セリエAを持ち、国民のサッカー熱高い |
12 | 日本 | 126 | 4,805 | 3.81 | Jリーグに世界レベルの選手招へい、レベルアップと底辺の拡大が急務 |
※総人口は、国連人口部の推計人口統計2019による。
※競技人口はFIFAウエブサイトから2010年の数字。
ドイツでのサッカー事情
前掲の表に見られるように、ドイツでは、総人口約80百万人のうち約16百万人がサッカーをプレーしており、国民の5人に1人がサッカーをしています。
学校での体育の授業はなく、スポーツは地元のスポーツクラブで行われるなど、行政がハードを提供し、民間が運営する仕組みが根付いているドイツでは、スポーツクラブは老若男女が集う場所で、トップを目指す者も、純粋にプレーを楽しむ者も、年齢に切れ目なく長くスポーツが楽しむことができます。
また、年齢ごとのサッカーチームがあるなど、スポーツを楽しむ中から切磋琢磨してトッププレーヤーが出てくる環境は理想的です。
ただ、多くの先進国で問題となっている少子化はドイツも例外ではなく、ジュニアのうちからサッカーを継続的に楽しんでもらう環境作りが求められています。
FIFAランキングと競技人口の関係は?

FIFAランキングと競技人口の関係について、2018年6月と2020年7月のFIFAランキングと競技人口をまとめました。
2020年7月のランキングでは、2018年のロシアワールドカップで優勝したフランス、準優勝のクロアチア、3位のベルギー、4位のイングランドがその後もランキングの上位にとどまる一方、2018年の6月には1位であったドイツが15位に低迷しています。
また、2020年7月のランキング上位に、競技人口が少ないベルギーやウルグアイなどの国が入ってきています。このことから、競技人口が多いということがそのままサッカー強豪国となるわけではないということがわかります。
競技人口では日本よりも少ないベルギー、フランス、ウルグアイ、ポルトガル、スペイン、アルゼンチン、コロンビアですが、総人口に占める競技人口の割合ではいずれも5%を超えてきています。
FIFAランキング | 2018年6月 | 競技人口(百万人) | 総人口に占める割合(%) | 2020年7月 | 競技人口(百万人) | 総人口に占める割合(%) |
1 | ドイツ | 16.3 | 20.21 | ベルギー | 0.8 | 7.07 |
2 | ブラジル | 13.1 | 6.35 | フランス | 4.1 | 6.43 |
3 | ベルギー | 0.8 | 7.23 | ブラジル | 13.1 | 6.25 |
4 | ポルトガル | 0.5 | 5.29 | イングランド | N.A. | N.A. |
5 | アルゼンチン | 2.6 | 6.12 | ウルグアイ | 0.2 | 6.96 |
6 | スイス | 0.5 | 6.89 | クロアチア | N.A. | N.A. |
7 | フランス | 4.1 | 6.51 | ポルトガル | 0.5 | 5.35 |
8 | ポーランド | 2.0 | 5.18 | スペイン | 2.8 | 6.06 |
9 | チリ | 2.6 | 14.53 | アルゼンチン | 2.6 | 5.93 |
10 | スペイン | 2.8 | 6.14 | コロンビア | 3.0 | 6.04 |
参考 | 60 日本 | 4.8 | 3.80 | 15 ドイツ | 16.3 | 19.52 |
17 チリ | 2.6 | 13.76 | ||||
28 日本 | 4.8 | 3.78 |
※競技人口はFIFAウエブサイトから。総人口は国連人口部の推計人口統計による。
日本のサッカーを含むスポーツ政策と将来性に向けて
日本では、ドイツのスポーツシステムを参考に、中学校の施設などを使って民間が運営する総合型地域スポーツクラブを増やそうという動きがあります。
過去の経緯では、1995年には8市町村で総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業が開始、2000年にはスポーツ振興法をもとに、スポーツ振興基本計画を当時の文部省が定め、総合型地域スポーツクラブの育成が位置付けられました。その後、2010年には、政府がスポーツ立国戦略を策定し、ライフステージに応じたスポーツ機会の創造を掲げ、2011年には文部科学省がスポーツ基本計画を定めました。
スポーツ環境の整備の解決に向けて、総合型地域スポーツクラブが重視されており、幾つかのスポーツクラブでは、すでに地域を巻き込んで軌道に乗った活動をしているクラブもあります。
しかし、日本では教育委員会などの団体が学校施設の利用に対し閉鎖的で、外部団体や外部指導者等に施設を貸し出すことに抵抗があります。
また、日本ではスポーツ教育が学校授業の一部となっていますが、これは、生徒の人数が多かった時代には底辺拡大に有効であったものの、今や、教師が部活動まで顧問として指導するのは限界に来ています。
民間が運営する総合型地域スポーツクラブを増やし、地域での活動を増やすための施策が重要となっているといえるでしょう。
まとめ
FIFAランキングの上位国で5%を超える世界の国々の総人口に占めるサッカー競技人口の割合。6%を超えてくると身近なスポーツとなりスポーツ強国となる傾向があります。
強豪国になるには、トップのナショナルクラスのレベルを上げるのと並行して、サッカーの裾野を広げること、底辺の拡大が重要です。
底辺の拡大のためには、身近でサッカーができる環境を作ること、切れ目なくジュニアからシニアまでサッカーを楽しめる環境を作ることが大切であり、スポーツ環境の整備には官民一体となった一層の検討が急務といえます。
(TOP 写真提供 = matimix / Shutterstock.com)
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