プロ野球セ・リーグ=パ・リーグ制度はマーケティングになっている

日本のプロ野球にセ・リーグとパ・リーグがあることは誰もが知っていることですが、なぜセ・リーグとパ・リーグの2リーグ制になったのかを知っている、という方は少ないのではないでしょうか。

本記事では、セ・リーグとパ・リーグの2リーグ制となった理由について迫ります。

現在の日本のプロ野球の組織図

プロ野球事業を統括しているのは、一般社団法人日本野球機構(本部・東京都港区、以下NPB)です。

現在、セパ両リーグには12球団が所属していますが、セ・リーグの正式名称は「日本プロ野球組織セントラル・リーグ運営部」、パ・リーグの正式名称は「日本プロ野球組織パシフィック・リーグ運営部」。

つまり、セパ両リーグは、プロ野球組織の「運営部」に所属するものであることが分かります。

NPBはプロ野球の試合を主催、開催し、審判をしますが、NPBには、球団の所有者で構成するオーナー会議があり、ここが最高の議決機関となります。

プロ野球球団が破産したり解散したりしたら、NPBが選手たちの報酬を救済することもあります。

元は単一リーグだった!セパ誕生の歴史

日本のプロ野球がスタートしたのは1920年。

そして1936年に最初のリーグ、日本職業野球連盟が発足しました。

日本職業野球連盟が発足した当初、1リーグ制で、同連盟はその後、日本野球連盟に改称しました。

新聞社どうしの対決が分裂を招いた

2リーグ制になったのは「新聞社どうしの対決」のため。

1950年ごろ、毎日新聞社が保有する毎日オリオンズがプロ野球に参入することを希望したものの、新聞社が保有する球団である読売ジャイアンツと中日ドラゴンズが参入に反対。

当時はプロ野球ビジネスが新聞ビジネスに大きな影響を与えていたため、読売新聞と中日新聞が、毎日新聞を拒否したわけです。

しかし、毎日オリオンズの新規参入に賛同する球団もあったため、球界が分断し2リーグ制となったのです。

名前に込められた熱い想い

パ・リーグのパシフィックは太平洋という意味で、そこには大海を超えて国際的なプロ野球事業を展開するという野望が込められています。

セ・リーグのセントラルは中央という意味で、自分たちこそ正当なプロ野球グループであるという自負が込められています。

セパのルールの違い

セ・リーグもパ・リーグもNPBに属していて、両リーグの審判もNPBの職員です。

そのため、セパのルールはほとんど同じですが、パ・リーグにはセ・リーグにはないDH(Designated Hitter)制があります。

DH制では、ピッチャーが打席に立つ必要がなく、ピッチャーの打順に打者専門の選手を出すことが可能であることから、ピッチャーはピッチングに、打者専門の選手は打撃に集中することができるます。

つまり、DH制は強いピッチャーと強い打者が生まれやすくなるというメリットがあり、強いピッチャーと強い打者が生まれれば、試合がより盛り上がることが期待できます。

2リーグ制は勝負系コンテンツ・ビジネスに都合がよい

写真提供 = Sean Pavone / Shutterstock.com

セパの誕生は偶発的なものでしたが、2リーグ制となることによって現在のプロ野球人気が支えられている部分もあります。

2リーグ制のマーケティング効果を考察していきましょう。

チャンピオン戦を年3回も組むことができる

2リーグ制の最大のメリットは、リーグどうしの対決を行えること。

毎春シーズンが始まると、12球団はリーグ優勝を目指し、毎年秋にセ・リーグの優勝球団とパ・リーグの優勝球団が決まります。

その後、2つの球団が日本シリーズという大会で頂上決戦を繰り広げます。

つまり、日本プロ野球では毎年、セ・リーグのチャンピオン戦と、パ・リーグのチャンピオン戦と、日本シリーズというチャンピオン戦の3回のチャンピオン戦が開催されることになります。

チャンピオン戦となるとファンが盛り上がるので、興行収入の増加が見込めます。

国民的行事になるチャンピオン戦が年3回も開催できることは、マーケターにとって魅力的といえるでしょう。

経営母体のビジネスが伸びる

12球団の保有企業には、新聞社、IT企業、食品企業、鉄道会社、飲料メーカー、リース会社、ネット企業が名を連ねています。

広島東洋カープのオーナーは個人ですが、その個人は自動車メーカーのマツダの創業家一族ですので、やはり「企業系球団」ということができます。

これらのオーナー企業は、保有球団が優勝するとセールを打ち出すことができます。

優勝機会が1回より、3回のほうがビジネスが大きくなるため、オーナー企業にとっても、チャンピオン戦は1回より3回のほうがよいといえるでしょう。

ファンの気持ちを揺さぶることができる

勝負系コンテンツ・ビジネスでは、顧客を絶えず興奮させる必要があります。

プロ野球の顧客とは、球団のファンです。

プロ野球のファンたちは長年にわたって、「どちらのリーグのほうが強いのか」「どちらのリーグのほうが面白い試合を展開しているのか」「どちらのリーグのほうが人気か」といったことで論争しています。

例えば、福岡ソフトバンクホークスは2020年の日本シリーズで、4年連続の日本一となりましたが、そのことによってマスコミやネットでは「パ・リーグ6球団のほうが、セ・リーグ6球団より強いのではないか」ということが話題になりました。

このような議論が起きると、セ・リーグのファンは「短期決戦の日本シリーズだけでは、球団の本当の強さは決まらない」と反論し、パ・リーグのファンは、「1年間を通じて高度な試合を見ることができるパ・リーグのファンでよかった」と思うでしょう。

つまり、ライバル関係の2つのリーグがあることで、ファンの気持ちを揺さぶることができるのです。

これはマーケティング的には、顧客をつなぎとめる効果を持ちます。

まとめ

プロ野球の2リーグ制は偶発的に生まれましたが、複数のリーグがあることでドラマが生まれやすくなり、面白さが増します。

プロ野球を含むコンテンツ・ビジネスでは、演出をしてファンをわかせる必要がありますが、2リーグ制の仕組みは、高い演出効果を持っているといえそうです。

(TOP写真提供 = zimmytws / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

一般社団法人日本野球機構定款

一般社団法人日本野球機構について

野球のセ・リーグ、パ・リーグの違いとは?分け方や意味をご紹介!(スポジョバ)

「パ・リーグ」が「セ・リーグ」より強くなった理由(東洋経済オンライン)

 
最新の
スポーツビジネス情報を
お届けします。
HALF TIME 無料会員登録特典

・イベント先行案内
・最新スポーツビジネス情報
・スポーツ関連プロジェクト求人案内

HALF TIME 無料会員に登録