サッカーのアディショナルタイムとは?延長で起きた印象的な試合も紹介

サッカーでは、「アディショナルタイム」という珍しいルールを採用しています。バスケットボールやアメリカンフットボールなどとは時間管理のルールが異なるため、サッカーを初めてみた人が混乱しやすい部分です。

この記事では、アディショナルタイムがどんなもので、なぜおこなわれるかを説明しています。また、アディショナルタイムとロスタイムがどう違うのかについても解説します。

サッカー アディショナルタイムとは

一般的にサッカーの公式戦は、前半45分、後半45分の「合計90分」が試合時間となっています。前半後半の間にはハーフタイムという休憩時間をはさみますが、これ以外にも試合が止まることがあります。

試合が止まるのは、「選手の交代」「接触行為があった場合の怪我人の確認」「負傷者の治療や搬出」「審判のカードの提示」「VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)チェック」などがあった場合です。

この止まった時間の分、前半、後半が終わった後にそれぞれ試合時間が延長されます。こうした延長時間のことを「アディショナルタイム」と呼んでいます。

アディショナルタイムで試合が延長される時間は?

アディショナルタイムが発生する条件として、選手の交代や怪我人の発生などを挙げました。しかし、これらの行為にかかった時間を計測して合計したものが全て追加される、というわけではありません。

アディショナルタイムをどれだけおこなうかは、試合が止まった時間から、主審が独自に判断して決定します。

実際に追加される試合時間は、「数分」ぐらいになるのが普通です。ただしルール上は、アディショナルタイムがおこなわれる時間に上限はありません。サッカーの試合は、前半後半45分ずつですから、理論上は45分まではアディショナルタイムがおこなわれることになります。

実際に、怪我の処置で30分ほどプレーが止まった試合で、28分のアディショナルタイムがおこなわれたケースがあります。ただし、アディショナルタイムが10分を超えることはめったにありません。

アディショナルタイムが設けられた理由

なぜアディショナルタイムがあるかというと、遅延行為を防ぎ、試合を「公正」におこなうためです。そういっても、試合時間が延長されることが、どう試合の公正さにつながるかわかりにくいかもしれないため、極端な例を挙げてみます。

たとえば試合後半の30分時点で、スコアが「1-0」の場合を考えてみます。この時、接触プレーで怪我人が出て、治療などに15分以上かかってしまうと、試合時間を使い切ってしまいます。つまり本来なら、負けている側が同点にしたり、逆転にするチャンスが15分あったはずが、得点を入れるチャンスが0になってしまうわけです。

事故なら仕方ない、と考えることもできます。しかしアディショナルタイムが無いと、点数で勝っている側が、無駄な選手交代や、嘘の怪我アピールなどで遅延行為をおこなう危険性があります。

アディショナルタイムがあれば遅延行為をする意味もなくなりますので、公正に試合をおこなえるわけです。

試合の公正さを保つことが本来の目的ですので、「スローイン」「コーナーキック」「フリーキック」などの通常のプレーで止まった時間については、アディショナルタイムで加算されません。

アディショナルタイム中に試合が止まった時間はどうなる?

アディショナルタイム中でも、負傷者が出るなどすれば試合が中断されます。この中断時間も、アディショナルタイムに付け加えられます。

たとえば主審がアディショナルタイムを5分と宣言したとしても、アディショナルタイム中にプレーが止まった場合は、5分を超えてアディショナルタイムが続くこともある、ということです。

ロスタイムとの違い

写真提供 = Lars Bo Nielsen / Unsplash.com

昔からのサッカーファンには、アディショナルタイムよりも「ロスタイム」という呼び方のほうが馴染みがあるかもしれません。双方の違いは、名称のみです。実際におこなわれることは、両者とも同じです。

じつはロスタイムは日本独自の呼び方で、「loss of time」からできた和製英語です。そのため、基本的に海外ではロスタイムと言っても通じません。ロスタイムの言葉の意味は「時間の浪費」といったものなります。

アディショナルタイムは、英語の「Additional Time」をそのままカタカナにしたものです。意味は、「追加時間」となります。

意味としては、アディショナルタイムの方が、制度をわかりやすく正確にあらわしています。日本でだけアディショナルタイムが、ロスタイムと呼ばれるようになった理由は不明です。

いつからアディショナルタイムに?

20世紀までの日本では、ロスタイムという呼び方が一般的でした。21世紀に入って、ロスタイムではなく、アディショナルタイムと呼ばれることが増えてきました。そして2010年に、日本サッカー協会によって、ロスタイムをアディショナルタイムと呼ぶように、と正式に通達がおこなわれました。

2013年には、NHKでサッカー放送をする時にも、アディショナルタイムと呼ぶように統一されました。

なお、サッカーだけでなく、ラグビーにもロスタイムがあります。こちらは今でもロスタイムという呼び方が使われています。

どうして名称が変わったのか

アディショナルタイムとロスタイムが実質的に同じものなら、わざわざ名前を変える必要はなかったのでは、という疑問が生まれます。

名称が変わった理由は、おもに2つあります。1つは国際ルールに合わせるためです。もともとロスタイムは、日本でだけ使われている用語のため、国際大会で使われているアディショナルタイムにしたほうが、わかりやすくなります。

また、サッカーではネガティブな言葉が避けられるようになってきています。ロスタイム以外に、「サドンデス」も使われなくなっています。サドンデスは「突然死」という意味のため、スポーツにふさわしくない言葉だ、という判断のようです。

ロスタイムも浪費という意味のため、視聴者にマイナスイメージを与える可能性も考え、廃止されたようです。アディショナルタイムにすれば追加という意味になり、ポジティブな印象があります。

アディショナルタイムで起きた印象的な試合

アディショナルタイムは、通常5分程度しかおこなわれませんので、得点が入ることはめったにありません。しかしその分、アディショナルタイムで試合が決まると、見ている人に強い印象を与えます。日本で特に有名なのが「ドーハの悲劇」です。

ドーハの悲劇

1994年のワールドカップで、日本は予選を勝ち上がり、本戦出場に王手をかけていました。最終予選は6カ国のグループでおこなわれ、上位2チームに入れば本戦に出場できる、というルールでした。予選最後の試合の前に、日本はグループ1位になっており、勝てば本戦出場確定、引き分けでもかなりの確率で本戦に行けるという状況です。

しかも試合は2-1と日本に有利なカウントで、後半のアディショナルタイムに入りました。しかし、対戦相手のイラクに、コーナーキックから意表をつく攻撃をおこなわれ、日本は同点ゴールを許してしまいました。

グループ2位たっだサウジアラビアと3位だった韓国が、それぞれの試合で好成績をあげたため、最終的に日本はグループ3位となり、本戦初出場の夢は絶たれました。この試合がカタールの首都ドーハでおこなわれたため、「ドーハの悲劇」と呼ばれています。

まとめ

サッカーには、「アディショナルタイム」というルールがあります。これは、試合中にプレーが止まった場合に、試合を延長しておこなうものです。

以前は「ロスタイム」と呼ばれていましたが、国際ルールに合わせる形でアディショナルタイムに変更されました。名称が違うだけで、ルール的な違いはありません。

アディショナルタイムによって試合が動くことはそれほど多くないのですが、まれに「ドーハの悲劇」のような印象的な試合も生まれます。サッカーの観戦をする時は、アディショナルタイムにも注意してみるとより楽しめるでしょう。

(TOP写真提供 = Jeffrey F Lin / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

ドーハの悲劇(Wikipedia)

ビデオ・アシスタント・レフェリー(Wikipedia)

アディショナルタイム(Wikipedia)

ロスタイム(Wikipedia)

アディショナルタイムの魅力がいっぱい!「サッカーの園」が選ぶ究極のプレーは? | (NHKスポーツ)

「アディショナルタイム」の意味とは?「ロスタイム」との違いを含めてご紹介 | (コトバの意味辞典)

アディショナルタイムとロスタイムの違いとは?疑問を解決! – (Activeる!)

ロスタイム? アディショナルタイム? 言葉で変わる残り時間の過ごし方 | (サカイク)

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