スポーツ選手にはお酒好きな人は多く、お酒をおいしく味わうためにスポーツをする、と豪語する人もいるくらいで、スポーツ後の一杯は格別です。ただし、スポーツ競技前のアルコール摂取はいろいろな面で運動に悪影響を及ぼします。また、スポーツ後のアルコール摂取にも注意が必要です。
お酒がスポーツに与える影響
アルコール摂取がスポーツに与える影響を考えてみましょう。
①お酒はストレスの解消になる
お酒のメリットには、ストレスの解消があります。適量の摂取は、運動時の緊張状態にある体を、リラックスできる副交感神経優位に働きかけることでストレスから解放してくれます。
②お酒は食欲を増進させる
お酒は胃液の分泌を盛んにして食欲を増進させてくれます。疲労や夏バテなどで食欲が落ちている時にお酒を飲むことで、効率的に食事のエネルギーが摂れるようになります。
③お酒のアルコールは脱水作用がある
運動前のアルコール摂取は、アルコールに脱水作用があるので、選手がトイレに行きたくなったり、脱水症状になったりする危険性が高まります。体の水分の3%が失われると運動能力が低下すると言われています。また、運動後のアルコール摂取は、体の水分が奪われて水分補給しなければならないところで利尿作用が高まり、貴重な水分がさらに奪われることになって危険です。体の水分の15%以上が失われると死亡することもあります。
④お酒のアルコールは競技能力の低下をもたらす
試合前の飲酒は気持ちが大きくなってよい結果が出る、と言う選手がいますが大間違いです。競技能力の低下や、正常な血糖値のコントロールが阻害され低血糖になる危険性があります。また、飲酒は心拍数を上げるため、心臓にも負担がかかり危険です。
⑤お酒のエネルギーは糖質補給にならない
お酒はカロリーが高いので、スポーツでのエネルギーになる糖質の補給になるのでは?と誤解がありますが、お酒のエネルギーのうち糖質は少なく、ほとんどがアルコールのエネルギーです。アルコールのカロリーは「エンプティーカロリー」と言われ、体に必要な栄養素をほとんど含んでいません。また、アルコールのエネルギーは筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されないので、糖質の補給にはなりません。
⑥お酒の飲み過ぎは疲労回復が遅くなる
疲労回復やエネルギー産生に関わるビタミンB1は、アルコールを摂りすぎるとアルコール代謝に取られてしまい、疲労回復が後回しになってしまいます。また、アルコールの解毒を行う肝臓が、飲み過ぎの場合はアルコール分解に仕事を集中してしまい、糖質の貯蔵やタンパク質の合成といった体調維持に必要な仕事を後回しにしてしまうことがあります。
スポーツ選手のお酒との付き合い方
20gのアルコールを分解し体から排出するには一般的に4〜5時間かかります。ただしアルコールの分解には個人差があります。試合前72時間は飲酒から時間をあけるとよいでしょう。72時間は長いように見えますが、飲酒が運動によい成果があるとはいえません。
運動後はまずアルコールを取る前に、大きめのグラスに入れた水を2、3杯飲んで喉の渇きをいやすとよいでしょう。真水ですと「自発的脱水」という、水分とイオンのバランスが崩れた「水分不足なのに喉は潤った」と勘違いする症状がありますので、できればイオンバランスのよいスポーツ飲料を、水で薄めて飲むことをおすすめします。喉が渇いた状態ではついつい酒量が多くなりがちです。水を飲んでからではお酒がまずい、という人もいますが、運動後は体をいたわり、体の早期回復を優先したいものです。二日酔いになる程飲むのはもってのほかです。
ハイボールのカロリーは…
さて、ハイボールですが、どういう種類のお酒になるのでしょうか?
お酒の種類
お酒は「醸造酒」「蒸留酒」「混成酒」の大きく3種類に分けられます。3種のお酒の造り方と3つの種類に入る酒の種類を簡単に説明しましょう。
①醸造酒
醸造酒とは、大麦などの穀物を麦芽の酵素で糖化し(果実の場合は果糖により自然発酵)アルコール発酵させ、お酒にしたもので、ビールや日本酒、ワインなどが代表的です。
②蒸留酒
蒸留酒とは、穀物などを発酵させ、さらに蒸留工程を加えたもので、ウイスキーやブランデー、ジン、ラム、焼酎、泡盛などが含まれます。
③混成酒
お酒をブレンドしたり、果実を加えたりして造ったお酒で、リキュール、梅酒、みりん、薬酒などがあります。
中でも蒸留酒は、蒸留工程を加えることで糖質が除かれ、水分とアルコール分だけが残ります。
ハイボールとは?
実はハイボールとは、リキュールやスピリッツをソーダなどの炭酸水で割ったものを呼び、海外では炭酸水の代わりにジンジャエールやコーラで割るものもあります。ただし、日本ではハイボールといえばウイスキーの炭酸水割りが一般的です。
ハイボールの名前の由来は?
諸説ありますが、最も有名なのは、スコットランドのゴルフ場でウイスキーのソーダ割りを試飲しているところに、高々と打ち上げられたボールが飛び込んできて「これがハイボールだ!」と言ったという説です。他にもゴルフ場で急いでウイスキーのソーダ割りを飲んで、ティーショットを打ったゴルファーの当たりが高く飛んだ(ハイボール)という説や、ソーダの上昇する泡がボールに見えるから、などがあります。
ウイスキーの成分は?
ウイスキーは蒸留酒の一種で、穀物を麦芽を使ってアルコール発酵させたものを蒸留生成して作られるお酒です。蒸留することでお酒から水分とアルコールだけが抽出できます。
分量100gあたり237キロカロリー、脂質0、炭水化物0、タンパク質0、コレステロール0、ナトリウム2ミリグラム、カリウム1ミリグラムです。
ハイボールの糖質は?
ウイスキーは糖質がありません。炭酸水も糖質ゼロです。ということは、割って作られたハイボールも糖質はありません。
ハイボールのカロリーは?
ハイボールのカロリーは 1杯当たり70〜100キロカロリー。糖質がないのにカロリーがあるのはアルコール分のカロリーです。
ハイボールは太る?太らない?
アルコールのカロリーは高い
アルコールのカロリーは 1gあたり9キロカロリーで、糖質やタンパク質のカロリーが 1gあたり4キロカロリーに比べると高いです。アルコールはエネルギー源として炭水化物よりも先に消費されるため体脂肪には変わりにくいと考えられています。ただし、たくさん飲めばカロリーも高くなり太る原因になります。
お酒の比較(100mlあたりのカロリーと糖質)
カロリー(キロカロリー) | 糖質(グラム) | |
ビール/淡色 | 39 | 3.1 |
発泡酒 | 44 | 3.6 |
缶チューハイ・レモン | 51 | 2.8 |
白ワイン | 75 | 2.0 |
日本酒 | 107 | 4.9 |
紹興酒 | 126 | 5.1 |
梅酒 | 163 | 21.7 |
焼酎 | 193 | 0 |
ウイスキー | 222 | 0 |
ブランデー | 222 | 0 |
お酒の比較(1杯あたりのカロリーと糖質)
お酒の飲み方によって摂取するカロリーの量が違うので、一般的な飲み方で比べてみました。こう見ると、梅酒は口当たりが良くついつい飲んでしまいますが、カロリーも糖質も高く、ダイエット中には気をつけたいお酒です。ビールもアルコール度数が低いのでつい飲み過ぎてしまいますが、カロリーも糖質もあるので気をつけましょう。
カロリー(キロカロリー) | 糖質(グラム) | |
紹興酒(シングル1杯30ml) | 38 | 1.5 |
ウイスキー(シングル1杯30ml) | 68 | 0 |
ブランデー(シングル1杯30ml) | 68 | 0 |
発泡酒(コップ1杯180ml) | 79 | 6.5 |
白ワイン(グラス1杯125ml) | 94 | 2.5 |
缶チューハイ・レモン(缶1本350ml) | 179 | 9.8 |
日本酒(1合180ml) | 193 | 8.8 |
ビール/淡色(中瓶1本500ml) | 195 | 15.5 |
焼酎(グラス½杯100ml) | 193 | 0 |
梅酒(コップ1杯180ml) | 293 | 39.1 |
ハイボールは太りにくいお酒
ハイボールはウイスキーを炭酸水で割ったもので、糖質がなく、カロリーはあるものの、ハイボールのカロリーはビールなどのお酒と比べて低いので、お酒の中では太りにくいお酒と考えてよいでしょう。
ダイエット中におすすめなお酒と、飲み方のコツ
ダイエット中におすすめのお酒は?
ダイエットでは体脂肪を減らしたいです。そのためには糖質が少なくカロリーも低い蒸留酒がおすすめです。そういう意味では和食にも洋食にもよく合うハイボールや酎ハイなどは、アルコール度が高いので、気持ちよく早く酔えるため量を飲みすぎにくいお酒と言えます。また、炭酸でお腹が膨れますので、つまみや食事のとりすぎも抑えられます。
ダイエット中のお酒の飲み方のコツ
ダイエット中のお酒の飲み方のコツとしては、以下があげられます。スポーツ選手も同様ですので参考にされてください。
①カロリーの少ないお酒を炭酸水で割って飲む
お酒の量を減らすことで摂取カロリーが少なくすみます。カロリーが低く、アルコール度数の高めのものを炭酸水で割ることで、お酒の量を適量に抑えられます。
②低脂肪のつまみやサラダを取る
お酒自体のカロリーがあるので、つまみや食事では、できるだけ低脂肪の刺身や枝豆、豆腐などのタンパク質を合わせて取るようにしましょう。枝豆は飲み始めに食べることで飲み過ぎも防げます。また、野菜類のサラダや煮物などで、ビタミンやミネラルを補給することも大切です。
③ごはんや麺類で糖質を必ず補給する
お酒を飲んだので糖質を取らないでよい、というのは間違いで、人の生活にとって糖質は大事なエネルギー源です。締めにおにぎりやお茶漬けなどで糖質を補給するようにしましょう。ただし、飲み会後のラーメンがおいしいのはわかりますが、ラーメンは脂質が多いのでおすすめしません。
④水分補給を忘れない
アルコールには利尿作用がありますので、アルコール以外での水分補給は行いましょう。一杯のビールやワインに、コップ一杯の水が目安です。翌日運動の予定がある時には特に水分補給を怠らないようにしてください。
飲み過ぎてしまったら
前日の夜に飲み過ぎて二日酔いでは、頭痛がして気分が悪いですね。翌朝には、カフェオレがおすすめです。カフェインが頭をすっきりさせ、タンパク質が体を回復してくれます。できるだけ運動は避け、体の回復を優先しましょう。
まとめ
ハイボールについて、ハイボールの名前の由来から、ハイボールのカロリーと糖質、お酒とスポーツの関係、ダイエット中におすすめのお酒と飲み方のコツについて紹介しました。
お酒はアルコールのおかげで、仲間との会話が弾み、楽しい時間を過ごすことができる飲み物です。ただし、飲み方によっては習慣性があり、飲みすぎることで体に悪影響がある飲み物でもあります。
上手にお酒と付き合うことで楽しい時間を過ごすことができます。ぜひお酒との付き合い方を工夫しながら、健康で豊かな生活を送りましょう。
(TOP写真提供 = Fidel Fernando / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
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