懸垂にはどういった効果がある?正しいやり方と練習メニューを紹介

懸垂(チンニング)は、腕から体幹まで、上半身の筋肉を効率的に鍛えられるトレーニング方法として人気があります。

日本の公園には「鉄棒」が設置してあることが多いため、気軽にトレーニングができます。また、数千円程度の「懸垂マシン」を購入すれば、自宅で手軽に懸垂をすることも可能です。

この記事では、懸垂の正しいやり方を説明していきます。また、懸垂をすることで、どういった効果があるのかも解説します。

懸垂の正しいやり方

懸垂は効果が高い「自重トレーニング」ですが、筋力が足りていないと1回もできない、という難点があります。懸垂ができなくて困っている人は、次のような手順で体を慣らしていってみてください。

  1. 斜め懸垂をする
  2. ぶら下がりをする
  3. ぶら下がりから足を前に出す
  4. アゴが鉄棒の上に来るようにジャンプ
  5. ネガティブ懸垂をする
  6. 静止した状態から懸垂する

では、懸垂の手順について詳しく見ていきましょう。

ステップ1:斜め懸垂をする

まずは「斜め懸垂」をしてみましょう。足がつく高さの鉄棒を握り、腕を伸ばしながら体を後ろに倒していきます。

ひじが伸び切ったら一旦ホールドし、そこから腕の力で体を前に戻します。肘が曲がり切る位置までいったら、また腕を伸ばしながら体を後ろに倒してください。

1セット30回を、1日に2~4セット無理なくできるようになったら、次のステップに進みましょう。

ステップ2:ぶら下がりをする

次のステップは、静止ぶら下がり(デッドハング)です。肩幅と同じくらいの間隔を開け、両手で鉄棒を握ります。

肘は伸ばしたままで、鉄棒にぶら下がり続けます。この静止ぶら下がりを30秒連続でできるようにしてください。

ステップ3:ぶら下がりから足を前に出す

次にぶら下がった状態から、「肩甲骨」を下げた姿勢をとります。そのまま、両足を揃え、前に少し出します。

空中で足の位置を変えるため、腹筋などの体幹の力が必要になります。このぶら下がりからの足上げの姿勢を30秒キープできるようにしてください。

ステップ4:アゴが鉄棒の上に来るようにジャンプ

低めの鉄棒を使うか、台を使うなどして足がついた状態で鉄棒を握ります。次にジャンプして、アゴが鉄棒の上に来る位置にいきます。

アゴが鉄棒の上にある状態で、その姿勢をキープしてください。5秒程度姿勢をキープできるようになったら、次のステップに進みましょう。

ステップ5:ネガティブ懸垂をする

まず台などを使って、アゴが鉄棒の上にある状態を作ります。次に腕を伸ばし、ぶら下がり状態に移行します。これが「ネガティブ懸垂」と呼ばれるトレーニングです。

体を下げる時、なるべくゆっくり動くのがポイントです。5秒程度かけてゆっくりと腕を伸ばせるようになったら、このステップもクリアです。

ステップ6:静止した状態から懸垂する(完成)

ここまで段階を踏んできた方なら、懸垂ができるようになっているはずです。

肩幅か、肩幅よりほんの少し広いぐらいの間隔で鉄棒を握り、腕を伸ばした状態から、肘を曲げていきます。アゴが鉄棒の上に来たら、腕を伸ばし体を下げていきます。

反動は使わず、体をまっすぐにし、きれいなフォームでおこなうのがポイント。何回できるかを意識しすぎずに、懸垂を繰り返してください。

アゴが上がりきったトップの状態で一瞬「静止」し、下がる時は「ゆっくり」と体を動かすようにすると、懸垂の効果が大きくなります。

1セット10回を、1日に2~4セットできるようになるのが目標となります。

懸垂の効果とメリットは?

写真提供 = Larry Crayton / Unsplash.com

懸垂には以下のような効果とメリットがあります。

1. 上半身の筋力強化: 懸垂は特に背中や腕の筋肉を鍛えるのに効果的です。背中の広背筋や上腕二頭筋、前腕の筋力を発達させることができます。

2. 背中の引き締めと姿勢改善: 懸垂は背中の筋肉を鍛えることで姿勢を改善し、背中を引き締める効果があります。正しい姿勢を保つことで背中の美しいラインを作り出すことができます。

3. 腕の筋力アップとパフォーマンス向上: 懸垂は上腕二頭筋や前腕の筋力を高める効果があります。これにより腕の力強さやパフォーマンスが向上し、スポーツや日常生活の動作においても役立ちます。

4. コアと全身の安定性向上: 懸垂は上半身の筋力だけでなく、コア(腹部や背中の深層筋)や全身の安定性を向上させる効果があります。バランス感覚や体幹の安定性を高めることで、姿勢の維持や動作の安定性を向上させます。

懸垂をすると、おもに「背中」の筋肉と「腕」の筋肉が鍛えられます。ほかに、大胸筋や腹筋などの体幹部の筋肉も鍛えられます。

上半身の筋力がアップすることによって「基礎代謝」が増加しますので、カロリーを消費しやすくなり、ダイエット効果も期待できます。

懸垂をすると、腕や体幹部が引き締まります。さらに体幹部の筋肉も鍛えられるため、スラリとした美しいシルエットを手に入れることが可能です。

また懸垂は、やり方によって鍛える部位を変えることもできるトレーニング方法です。

・鉄棒のやり方で鍛えられる筋肉が変わる

鉄棒を「逆手」で握ると、腕(上腕二頭筋など)や大胸筋を鍛える効果が大きくなります。逆手懸垂とは、手のひらが自分の体の方を向いている状態で懸垂をすることです。「順手」は、手のひらが正面に向いている状態を意味しています。

順手で懸垂をすると、背中(広背筋など)や肩(三角筋など)を鍛える効果が高くなります。そのため、鉄棒の握り方を変えるだけで、自分が鍛えたい部位をシェイプアップすることが可能です。

・手の間隔によって鍛えられる筋肉が変わる

懸垂は肩幅程度の間隔で鉄棒を握るのが基本ですが、手の幅を変えることで鍛える筋肉を変えることもできます。

手の間隔を狭くすると、腕(上腕二頭筋など)と胸(大胸筋など)へのトレーニング効果が高まります。逆に手の間隔を広くすると、背中(広背筋、僧帽筋など)を効率良く鍛えられます。

ただし、手の間隔を狭くするやり方も、手の間隔を広くするやり方も、基本の懸垂より難易度が高くなります。基本の懸垂を完璧にこなせるようになってから、バリエーションとして試してみてください。

懸垂を取り入れた全身トレーニングをご紹介!

1パターンの懸垂をやっているだけだと、偏った筋肉だけが鍛えられてしまう危険性もありますので、次のようなトレーニングを組みわせておこなうのがおすすめです。

  • ハンギングレッグレイズ
  • シンディ
  • バーピージャンプ+懸垂

 

・ハンギングレッグレイズ

「ハンギングレッグレイズ」は、鉄棒にぶら下がった状態で足を上げていく運動です。基本の懸垂では、足を少し前に出すトレーニングをしましたが、ハンギングレッグレイズでは、体が90度になるまで足を上げていきます。

体が90度になったら、その姿勢で停止します。停止時間は長いほど効果がありますが、無理のない範囲で調節してみてください。停止が終わったら、足をゆっくりと下げていきます。これを繰り返すのが、ハンギングレッグレイズです。

ハンギングレッグレイズは、腹筋を鍛える効果がありますので、通常の懸垂では鍛えにくい部位を補えます。

また難易度は高くなりますが、体を90度にした状態で懸垂をおこなう「L時懸垂」ができれば、腕、肩、背中、腹の筋肉を同時に鍛えられます。

・シンディ

「シンディ」は、「懸垂」「腕立て伏せ」「スクワット」を組み合わせたワークアウトです。懸垂を5回し、次に腕立て伏せを10回やり、スクワットを15回やるというのが基本の1セットになります。

シンディは全身の筋肉をバランスよく鍛えられるおすすめのワークアウトです。腕は腕立て伏せで鍛えられるため、背中への効果が高まる「順手懸垂」でおこなう方がよいでしょう。

・バーピージャンプ+懸垂

「バーピージャンプ」は、伏せた状態から足を引き付け、立ち上がりながらジャンプするというトレーニングです。

このバーピージャンプに懸垂を組み合わせることもできます。バーピージャンプで、ジャンプをするタイミングで鉄棒をつかみ、そのまま懸垂をおこないます。

このワークアウトでは、筋肉だけでなく心肺能力やスタミナアップも期待できます。

懸垂の上級者向けのトレーニングメニュー

上級者向けの懸垂の練習メニューの一例を以下に示します:

1. ワイドグリップ懸垂

ワイドな手の位置で懸垂を行います。背中の広背筋を重点的に鍛えることができます。

2. ウェイトド懸垂

ウェイトベルトやダンベルを使用して懸垂を行います。体重に追加の負荷をかけることで筋力をさらに発展させることができます。

3. ミックスグリップ懸垂

片手のグリップを逆にして懸垂を行います。これにより腕や肩の不均衡を改善し、バランスのとれた筋力を養うことができます。

4. ワンアーム懸垂

片手での懸垂を行います。片腕のみで体を支えるため、一側の筋力を集中的に鍛えることができます。

5. レッグレイズとの組み合わせ

懸垂とレッグレイズを組み合わせて行います。懸垂の間に脚を持ち上げる動作を加えることで、腹筋や下腹部の筋力をトレーニングすることができます。

これらの上級者向けの懸垂の練習メニューは、より高い筋力やバランスを求める方に適しています。ただし、安全に練習を行うためには十分なウォームアップやストレッチ、正しいフォームの確保が重要です。また、自身の体力やレベルに合わせて負荷や回数を調整し、無理な負荷や過度な疲労を避けるようにしましょう。

まとめ -懸垂は初心者はまずは斜め懸垂のやり方からがおすすめ

懸垂は、背中と腕の筋肉を鍛えられるトレーニング方法です。ただし、ふだんから鍛えていない人には難しいトレーニングですので、最初は「斜め懸垂」から始めるなどして、徐々に体を慣らしていきましょう。

懸垂だけでは鍛えられる部位が偏る可能性もありますので、腕立て伏せやスクワットを組み合わせるなどして、全身をバランスよく鍛えていきましょう。

(TOP写真提供 = GMB Fitness  / Unsplash.com)


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