バスケットボールの市場規模はどれぐらい?~Bリーグの市場戦略を紹介

マーケティングを考えるにあたり、市場規模は販売計画を立てるにあたっての重要な指標になります。

市場規模とは、一般的に、その業界間で取引されている金額のことをいいますが、ここでは、企業売上高の合計額を市場規模とします。

つまり、バスケの市場規模といえば、日本ではバスケのプロリーグ・Bリーグの各クラブの売上高の合計、米国ではNBAの各クラブの売上高の合計で表すことができます。

Bリーグの市場規模は右肩上がり

日本のバスケのプロリーグであるBリーグの市場規模は、リーグ全体の売上高で表されますが、2016-17シーズンは150億円、2017-18シーズンは195億円、2018-19シーズンは221億円と右肩上がりに拡大しています。

 2016-17シーズン2017-18シーズン2018-19シーズン昨対比
売上高(億円)150195221+13.2%
 うちB1116145166+14.5%
 うちB2345054+9.7%
入場者数(万人)224250259+3.6%
*Bリーグホームページ、2018-19シーズン クラブ決算概要 発表資料から

日本のプロスポーツリーグで比較すると(2018年度比)、1位のNPB(プロ野球)の約1,500〜2,000億円(非公表)、2位のJリーグ(プロサッカー)の1,257億円に次いで、プロバスケBリーグは221億円で3位の市場規模です。

Bリーグの発足は2016年、現在全チーム数は46クラブで、2018-19シーズンは、クラブ売上高1位の千葉ジェッツ以下6つの球団が売上高10億円を突破。Bリーグ初の1億円超プレーヤーの富樫勇樹選手の所属する千葉ジェッツの売り上げは17億6千万円でした。

八村塁選手のようにNBAにドラフトされる選手も出てきており、今後Bリーグの注目度も上がることでしょう。

Bリーグ成功の要因

Bリーグは発足後3年間、着実に市場規模を拡大しています。

Bリーグが軌道に乗った要因について、Bリーグ事務局長の葦原一正事務局長の発言や講演のレポートから紐解いてみます。

まず、Bリーグは、日本にあるプロリーグの野球やサッカーをベンチマーク(指標にする優れた手法や施策)にせず、世界一のバスケのプロリーグであるNBAをベンチマークにすることから始めています。

日米の野球での市場規模の違いの原因

Bリーグの立ち上げ時に、葦原氏はここ20年間で日本と米国の「野球」の市場規模が5倍も差がついた原因を分析し4つ挙げ、それを踏まえたBリーグ運営を考えました。

1. リーグ主導のガバナンスの再構築

米国プロ野球リーグのMLBが、ビジネス全体を統括し、リーグ価値を最大化する努力をし、各チーム共通コストの大幅カットを行うという、MLBを主導とするガバナンスの再構築を行っていること。

2. デジタルシフト

MLBがデータを一括管理し、データを利用したデジタルマーケティングを行っていること。

3. スタジアムの新築と改修

20年でMLB球団の3分の2がスタジアムを新築または改修し、収容人数の増加、飲食環境の改善を図っており、来場する観客が楽しめる環境を演出していること。

4. 若い人材の活用

30〜40才のGMや社長が出現し、新しい経営方法やITを利用した経営で手腕を発揮していること。

そこで、Bリーグは4つの原因を押さえ、Bリーグ3つの理念である

①世界に通用する選手やチームの輩出

②エンターテイメント性の追求

③夢のアリーナの実現

を踏まえた以下の2つの事業方針を掲げ、革新的な行動が取れる新興リーグであることの利点を活かし、テクノロジー活用を進め、事業をスピーディーに行える体制を整え、さらにスポーツテック等を利用したAR(拡張現実)/VR(仮想現実)観戦や臨場感ある試合演出を目指すことにしたのです。

Bリーグ2つの事業方針について

Bリーグの2つの事業方針とは、

①デジタルマーケティングの推進

②代表、リーグ、クラブの権益の統合

です。

それぞれを詳しく見てみましょう。

 ①の「デジタルマーケティングの推進」については、リーグが一括してデータ分析を行い、データから顧客の分析とターゲット層の決定を行っています。

バスケの世界競技人口数は約4.5億人で世界1位といわれています。

また、日本国内のバスケ観戦意向者は約700万人とされています。女性の観戦意向者比率が、他スポーツより高い、このことから、関心がある人が多くいるということが想像できます。

これに加えて、Bリーグ開幕戦のテレビ視聴率が12才以下の男女や20〜30才代前半の男性に非常に高かったことが分かりました。

以上のことから、その700万人の特徴を、家にいるよりも外出し、テレビやPCよりもスマホや雑誌での情報収集、SNSでの発信もシェアも積極的、そして、オシャレで流行に敏感な若者や女性顧客層である、と想定し、バスケに興味はあるが、熱狂的ではないライトファンをまず増やしたい、そのためにはどうしたらよいかに注力することとしたのです。

特筆すべきデータ活用戦略

Bリーグは、情報伝達・広告宣伝活動にスマホを通じて行うことを第一とすることと定め、SNS活用、中でも検索に引っかかりやすいハッシュタグを上手に使い、バスケに興味がない人にも情報が届くようなハッシュタグの設計がされていることが特徴です。

また、チケット販売はウェブチケット、放送はネット中継、スポンサーはデジタルを中心とした企業群を選定し、グッズは電子商取引というスマホ中心のデジタルマーケティングを行ってきました。

そして、4つのSNSはそれぞれの特徴を生かし、細かく使い分けられています。例えば、Twitterは、若者向けをターゲットとし、ファインプレーやかっこいい選手のプレーの動画投稿などを行って若者の関心を集め参加を勧誘。インスタグラムは、女性向けをターゲットとし、ハッシュタグを活用して、あえてバスケに関係ない投稿も行って関心を誘っています。好きな選手への投票企画なども行っています。

LINEでは、プッシュ通知が可能であることを活かして、伝えたい通知がダイレクトに伝わるような発信を心がけ、ユーザー顧客が欲しい情報にアクセスしやすい作りに。そして、Facebookは、ライブ配信を積極的に使い、仲間うちでコミュニケーションしやすい作りにして、コアファンがチケットを購入して友達を誘いやすくなる手段として活用してもらうようにしています。

権益をB.MARKETINGが管理

②の「代表、リーグ、クラブの権益の統合」について、B.MARKETING株式会社という会社が、2016年9月に設立されています(2019年1月に会社分割して現会社)。

この会社の事業内容は、JBA(公益財団法人日本バスケットボール協会)とBリーグの保有する放送権やスポンサーシップ、商品化権やJBA主催大会のプロモーション等の権益をまとめて管理し、各種調査事業とコンサルティングを行うこと。その意義・目的として、権利価値の最大化、意思決定の迅速化、顧客対応力の向上を挙げています。

また、反対意見はあったものの、各クラブの既存のシステムを無効化し、Bリーグを中心としリーグ主導で運営をするよう各クラブと協議し実行してきました。

この一つの例として、データの集中化が挙げられます。

当初、ライトファンに対するマーケティングの効果が得られなかったことから、ライトファンへの直接アプローチから、コアファンがライトファンを誘いやすくなる情報の提供へとコミュニケーション戦略を変更。これは、データの一元管理から得られた効果であり、マネージメントサイクルPDCAがきちんと回されていることの証左といえるでしょう。

また、企画の統一化も行われていますが、この例として、2018年春にBリーグが企画し、各地のクラブでSNSを活用した統一企画の「バスケに卒業はない」をテーマに開催されたB.Fesが挙げられます。

このB.Fesのコンセプトは、学校を卒業した後の新しい環境でも、バスケをプレーしたり観戦したり、仲間で同窓会をやったりするきっかけになれば、というもの。

バスケは激しい接触プレーが多く、年齢が高くなるにつれ、競技から離れる傾向がります。この企画は、元プレーヤーにバスケのコアファンとして、Bリーグや各クラブを支えて欲しいとの願いも込められていました。

ネットとリアルの融合も考えた、Bリーグが主導する動きが、リーグ全体によい効果を与えています。

以上から、Bリーグではこれら2つの事業方針が明確にされ、関係者が効果的に実行に動いたことで事業が軌道に乗ったものと考えられます。

NBAの資産価値も上昇中

写真提供 =  Melinda Nagy / Shutterstock.com

ここまで、Bリーグについて紹介してきましたが、ここからはNBAの市場規模や資産価値について紹介していきます。

NBAの市場規模は約1兆円

世界一のバスケプロリーグであるNBA。その2019年の市場規模は約88億米ドル(約1兆円)でした。

売り上げは、放映権、スポンサー収入、チケット販売、グッズ販売で構成されており、中でも、放映権の占める割合が高くなっています。

NBAは、全国放送用放映権だけで年間約3000億円の収入があります。そして、各チームが地元放送局に約50〜170億円でローカル放映権を販売し、海外放映権で約550億円の収入を得ています。

9年間の超大型放映権契約の締結と、労使協定の改定(選手給与の売上に占める割合の低減)により、今ではほとんどのチームが黒字化し、1チームで約110億円の利益を上げているチームもあります。

NBAチームの資産価値は平均して約2,200億円

フォーブスが試算したNBAのチーム平均の資産価値は、2010年と比較して2019年は約6倍に上昇。北米4大スポーツリーグで一番の伸びを示しています。

チーム別では、ニューヨーク・ニックスが約5,100億円、ロサンゼルス・レイカーズが約4,900億円。平均しても各チーム約2,200億円となっています。

2010年にマイケル・ジョーダンがシャーロット・ホーネッツのマジョリティー・オーナーになる際に約195億円支払い、2018年にチームの一部株式を売却した際に約10倍となる約1,650億円の資産価値をつけたケースもありました。

現在、資金を潤沢に持つ中国の投資家が健全な運営で利益を上げているチームの買収に動く動きもあります。また、今季開幕時の出場登録選手リストに108名の海外国籍選手がいることから、海外収入が増加するのも間違いないでしょう。

まとめ

現在、Bリーグの市場規模はNBAの約50分の1ですが、その分将来の伸びしろが大きいといえます。

BリーグはNBAに学び、世界の最先端を目指してITを駆使しながら、いかに多くのファンを取り込んでいくか、それをどうやって行くかに知恵を絞り、PDCAサイクルを回すことも怠っていません。

若くて柔軟な考えとマーケティング手法を学んだプロのスポーツ経営者が手腕を発揮してきているBリーグの経営手法から、目が離せません。

(TOP写真提供 = Melinda Nagy / Shutterstock.com)


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Bリーグ公式サイト (バスケットLIVE)

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会社情報・事業案内 (B.MARKETINGホームページ)

 
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