ブラジリアン柔術とは?歴史やルールなどについて解説!

ブラジリアン柔術とは、南アジアから中国、そして日本へと伝播され、そこで大きく発展したといわれる柔術がさらに世界に広まって誕生した格闘技のこと。

いったいどのような競技なのか、その歴史やルールについて紹介します。

ぜひ、最後までご覧ください。

ブラジリアン柔術とは

ブラジリアン柔術とは、その名のとおりブラジルで誕生した流派の柔術のこと。

リオデジャネイロを中心に、サンパウロやクリチバなどに広がり、この3都市が特に競技人口が多いといわれています。

ブラジリアン柔術の柱は

  • 柔術競技
  • 護身術
  • バーリトゥード

の3つ。

ブラジリアン柔術の試合の多くは、寝技の組み技が主体の柔術競技を中心に行われます。

そもそも、柔術とは、相手を殺傷せずに、身を護る護身術を主体とした武術のこと。そのため、相手を打ち負かすことが目的ではなく、あくまでも自分、もしくは他人の生命・身体を守ることを最優先事項としています。

したがって、ブラジリアン柔術の護身術は、立ち姿勢による不意打ちの状況での技が中心となっています。

ちなみに、柔術から発展した柔道とブラジリアン柔術の最大の違いは、ブラジリアン柔術が「何でもあり」を意味するバーリトゥードを柱にしていること。

柔術競技での試合は着衣でルールに基づいて実施されますが、バーリトゥードでは着衣自体ありません。そして、打撃(パンチ、キック)、投げ技、固技(抑込技、関節技、絞め技)など、さまざまな技術を駆使して、何でもありのルール(禁止事項はある)で試合が行われます。

ブラジリアン柔術の歴史

ここからは、ブラジリアン柔術の歴史についてみていきましょう。

ブラジルに柔術を伝えた人物

ブラジリアン柔術が誕生したのは20世紀初頭のこと。

柔術をブラジルに伝えた人物は前田光世氏です。

前田光世氏は、柔道の創始者である嘉納治五郎氏が興した柔道の総本山、講道館で学んだ柔術の技を格闘技に積極的に取り入れていきます。前田氏は、高い技術を認められ、世界に柔術を広めてきますが、この時、ブラジルで前田光世氏から柔術を学んだ人々によって生み出された格闘技がブラジリアン柔術です。

ちなみに、前田光世氏から熱心に柔術を学んだブラジル人の1人がカーロス・グレイシー氏です。

カーロス・グレイシー氏の父親と前田光世氏とに親交があったことから、カーロス・グレイシー肢は前田光世氏から直接柔道を学び、その後、弟のエリオ・グレイシー氏と共にリオデジャネイロ市で道場を開きます。

この時に、体格や力の上で劣る相手でも勝てるように、前田光世氏から学んだ柔術を改変してグレイシー柔術を考案したといわれています。

このグレイシー柔術はバーリトゥードのみを柱としたものであり、目潰しと噛み付き以外は何をやってもよいといいというもの。

そのグレイシー柔術の武道的な側面を簡略化した競技としてブラジリアン柔術が発展しました。

ブラジリアンの競技人口

ブラジリアン柔術は、ハードルが低く素人からでも始められるため、ブラジルだけでなく世界中で競技されています。

日本の競技人口も多く、スポーツ柔術日本連盟(SJJJF)によると2018年の競技人口数は約3万人といわれます。

ブラジリアン柔術のルール

写真提供 = Richard Bustos / Unsplash.com

ブラジリアン柔術のルールについて見ていきましょう。

合計ポイントで競う 

柔道には1本勝ちがあり、投げ技で1本を取った時点で勝敗が決まりますが、ブラジリアン柔術には投げ技での1本勝ちはありません。

関節技や絞め技で相手がタップ(参った)した場合での1本勝ちはありますが、基本的には投げ技や寝技、締め技、関節技でポイントを多く獲得した方が勝ちます。

また、ポイントが同じだった場合は、アドバンテージ(技の効果があった場合)の数が多い方が勝ち。

もし、アドバンテージも同じだった場合は、ペナルティの数が少ない方が有利となるルールです。

柔道と同じく、試合中に積極性がなかったり違反行為があったりした場合には減点され、1回目は注意、2回目以降はペナルティで1ポイント減点、累積4回目の反則で失格となります。

試合時間

柔道は基本的には階級問わず同じ時間で試合をしますが、ブラジリアン柔術は年齢や帯によって試合時間が変わります。

年齢や帯ごとのブラジリアン柔術の試合時間は下表のとおりです。

アダルト(18〜29歳)マスター1(30〜35歳)マスター2(36歳以上)
白帯 5分
青帯 6分
紫帯 7分
茶帯 8分
黒帯 10分
白帯 5分
青帯 5分
紫帯 6分
茶帯 6分
黒帯 6分
白帯 5分
青帯 5分
紫帯 5分
茶帯 5分
黒帯 5分

着用する道着のルール

バーリトゥードは着衣なしでもよいとされていますが、柔術競技でのブラジリアン柔術の試合は着衣が基本です。

試合で使用が認められている道着とその帯の色について紹介していきます。

試合で使用が認められている道着

国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)が試合で使用が認めている道着は

  • 道着の色は白・黒・青のいずれか
  • 色は上下の道着同じであること
  • 袖が短すぎる上道着や、丈が短すぎる下道着は不可
  • 破れた道着は不可
  • 襟は4.95cm以内の幅で、厚みは1.15cm以内に収まっていること
  • 袖から脇にかけて最低6.8cm以上の余り幅があること

というもの。

この条件を満たしていない道義は、試合での着用が認められていません。

帯の色と階級

ブラジリアン柔術は、階級ごとに帯の色が決まっており、色が異なる選手同士の試合は行われません。

ブラジリアン柔術の帯の色は下表のとおりです。

帯の色階級
白帯低位
青帯 
紫帯 ↓
茶帯 
黒帯高位

まとめ

ブラジリアン柔術といえば、グレイシー柔術から発展したバーリトゥードの武術というイメージを持っている人が多いかもしれません。しかし、ブラジリアン柔術は、柔道と比べて初心者でも始めやすく怪我のリスクも低いとされるもの。

日本でもブラジリアン柔術の道場が増えてきており、注目が集まっています。

初心者にも敷居が低く、長く続けられるということが魅力のブラジリアン柔道。

興味がある方は、ぜひ挑戦してみてください。

(TOP写真提供 = Chris Kendall / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

ブラジリアン柔術とは(JBJJF)

ブラジリアン柔術を始めるべき6つの理由(ONE)

【初心者】ブラジリアン柔術のルール解説!反則とポイントを知ろう(スポジョバ)

帯制度(JBJJF)