職業としてのサッカーコーチ ~サッカーコーチの仕事と資格、求められるスキルについて〜

サッカーのコーチは、ボランティアからプロのコーチまで、それぞれのアマチュアから日本代表クラスの選手までの指導対象者に対し、広く指導を行なっています。ここではサッカーコーチの仕事内容や、コーチの資格(ライセンス)、コーチに求められるスキルなどを解説します。

サッカーコーチとはどんな仕事?

サッカーコーチとは

サッカーコーチとは、教わる生徒にサッカーの楽しさ、技術、戦術を教える人のことです。未就学児から中学生までの生徒を指導することが多いようです。コーチには、本業を持ちながらボランティアで教えるコーチから、プロとして報酬を得ながらプロリーグのコーチを行うコーチまで幅広くいます。

サッカーコーチの仕事とは

サッカーコーチの仕事には、先述したことに加えて、日々のトレーニングの指導や、育成・サポート、試合の監督も行います。

その人がどういうコーチ職に就くかで仕事の内容もいろいろです。例えば、スクールやクラブチームの団体職員としてのコーチなら、選手の指導以外にも、事務作業や雑務、イベント企画、チラシのポスティングまで行ないます。学校の顧問としてなら、生徒の監督と保護者対応も重要な仕事です。経験を積んで独立し、フットサル場の経営を行ないながら、スクールコーチを行なっている人もいます。

サッカーコーチに必要な資格やスキルとは

写真提供 = Alliance Football Club / Unsplash.com

Jリーグの監督と、トップチームのコーチになるには、日本サッカー協会(JFA)のS級ライセンス所持の義務があります。一方、その他のコーチは、基本的にライセンスをとる必要はありません。ただし、スクールやクラブによってはコーチ採用条件として、JFAのC級以上のライセンス保持していること、としているところもあります。

 JFAのサッカーコーチの資格とは

JFAでは、サッカー普及を担うキッズリーダーと、S級ライセンスを最上級とする、A・B・C・D級までの5段階のライセンス付与を行っています。それぞれのライセンスについて、下記で詳しく解説します。

キッズリーダー

満15歳以上が取得できるボランティアコーチや保護者向きの資格です。指導対象者は10歳以下の選手・子どもたちで、1.5時間の講義、1.5時間の実技後、実技と筆記試験に合格すると授与されます。

 D級ライセンス

サッカーの導入を教える初級コーチの資格で、C級の要点をまとめてあり、満18歳以上のC級の日程で参加できない忙しい人向けのライセンスです。指導対象者は子どもを中心とするアマチュアレベルで、週末2回で、費用は3万円前後で取得できます。

C級ライセンス

子どもから大人までのアマチュアチームおよびアマチュアレベルの選手を指導対象者とし、サッカーの導入を教えるライセンスです。基礎的なゲーム分析や、トレーニングプランの作成、子供との接し方など指導の基礎を学びます。満18歳以上であればD級ライセンスを持たずに直接受講できるライセンスです。C級以上のライセンス保持を採用条件とするクラブチームもあります。10日前後の講義と実技講習で、5万円前後の費用で取得できます。

B級ライセンス

満20歳以上のC級ライセンス保持者が受講できるライセンスです。対象生徒はアマチュアチームおよびアマチュアレベルの子どもから大人で、選手育成とチームマネジメントなどのサッカーの基礎を学ぶ内容で、C級に比べると難易度が上がります。また、宿泊を伴う受講なので内容密度も濃く、費用もかかることになります。B級以上は、JFA、Jリーグなど所定団体の推薦が必要になります。12日間の受講で、費用は20万円前後かかります。

A級ライセンス

B級ライセンス保持者が受講できます。A級ではアマチュアトップレベルのチームおよび選手に指導ができる内容を教えます。各地域の推薦が必要になるので、更に費用も難易度も上がります。1年以上の指導経験が必要で、10年かかってやっと受講できたという人も多いです。A級ライセンスには、ジェネラル、U12、U15の3種類があります。ジェネラルでは、Jリーグ、JFL、なでしこの選手のコーチや監督レベルのライセンスです。U12/15は、JリーグクラブのU12/15チームや、JFAなどで12歳以下/15歳以下の選手を教えるレベルのライセンスになります。18日間の受講で、費用は40万円前後かかります。

S級ライセンス

A級ライセンス保持者が受講できる、日本最高位のライセンスになります。海外研修も必要なので、誰でも受けられるものではありません。プロフェッショナルレベルのチームおよび選手の指導ができるライセンスで、日本代表やJリーグチームを監督するレベルのライセンスです。受講には90日間程度の日程で、費用は100万円以上かかります。

サッカーコーチに求められるスキルとは

以下が、サッカーコーチに求められる主なスキルです。

①サッカーの技術

必ずしも必要ではありませんが、過去に選手としてプレイした経歴があれば、教える選手への説得力を持つ意味でも、お手本を示し教えやすいでしょう。選手の実績も一種の名刺代わりになるため、あればコーチを行なうには何かと役に立つでしょう。ただし、コーチには自らの技術や実績よりも、生徒に「教える技術や知識・経験」が大切になります。

②コミュニケーション能力

教えるうえで大切なのは、生徒に技術や戦術を伝える伝達能力です。技術をお手本として示すことも大事ですが、言葉による表現や伝達能力があれば視覚情報に補足でき、さらに生徒の理解が深まります。

 生徒が未就学児や小学生、中学生の場合は、保護者とのコミュニケーションが大切です。保護者は、自分の子供たちを中心に物事を考えがちなので、上達しない理由や、メンバーに選ばれなかった理由など、説明を求められる局面があります。その際も、論理的な理由に基づくコミュニケーションが大切です。

③向上心

サッカーに限らずスポーツ全般に、技術や戦術、フィットネスの情報は日進月歩で、コーチも情報のアップデートが重要です。その時代のトレンドもありますし、コーチは向上心を持って日々学ぶことが大切です。

④英語力

最近では、外国からやって来た生徒に教える機会も増えてきています。サッカーも国際共通のスポーツですので、生徒に教える際の英語力を持っているとよいでしょう。場合によっては、海外遠征にコーチとして帯同するかもしれないため、英語で交渉する力なども必要になるでしょう。

⑤熱意

コーチに必要な一番のスキルは「熱意」だと思います。熱意がない指導には生徒は耳を傾けません。生徒を少しでも上達させたい、という熱意が生徒に伝わり、練習にも試合を行なうチーム内にも活気が出てきます。

サッカーコーチの給料はどれくらい?

コーチの給料は、アルバイトと正社員で待遇を含め大きな違いがあります。

アルバイトコーチの給料

時給900円~1,100円前後、1日3~5時間勤務になります。

正社員・プロコーチの給料

1日8~12時間勤務、1か月16~30万円程度、30万円もらえるコーチはベテランコーチや、元Jリーガーなどになります。

サッカーコーチになるには

サッカーコーチになる方法としては、以下の3つの手段があります。

  1. クラブチームのコーチ
  2. スクールのコーチ
  3. クラブかスクールを自ら立ち上げる

サッカーコーチになりたいなら、個人事業主のコーチと比較して税金面や年金受給面で有利な、法人の正社員を目指しましょう。上記の①と②がそれにあたります。①は公募することは稀ですので、直接クラブチームへ問い合わせてみましょう。②については、公募されることがありますので、注意深く情報を確認しましょう。コーチ同士のネットワークも活用しましょう。

③については、①や②の経験を経て実績を作ってから、立ち上げること、そしてライセンスを取得することをおすすめします。

まとめ

本記事では、サッカーコーチについて、コーチの仕事内容や資格、求められるスキルなどを解説しました。

コーチを職業とすることは、肉体労働でもあり大変ですが、そのスポーツへの思いと生徒指導への熱意があれば、挑戦してみる価値が十分ある仕事と思います。将来の選手たちに夢を託す意味でも、やりがいのある仕事になるでしょう。

(TOP写真提供 = Jeffrey F Lin / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

サッカーコーチになるには?必要な資格やスキルを解説 (東京YMCA社会体育・保育専門学校)

サッカーコーチになるには?【3つの方法を紹介】 (サッカーのみちしるべ)

指導者養成講習会 (JFA.jp)