柔術とは ~ブラジリアン柔術を中心にルールと試合について

柔術とはどういう競技でしょうか?広く一般的に知られているスポーツではないので、格闘技に詳しいファンでないとご存知ない方も多いでしょう。

柔術とは

組技系格闘技の一種で、中でも柔道の元になった古流柔術と、柔道から生まれたブラジリアン柔術が有名です。他にもいくつか流派があるので、柔術はこれ、といった定義は難しいです。

古流柔術

日本で生まれた戦場格闘技が源流と言われ、かつては拳法とも呼ばれた武術です。諸説ありますが、安土桃山時代に豊臣秀吉によって行なわれた刀狩りで百姓が武器を持てない時期に、武器を持たずに素手で相手と戦うために始まったとも言われています。

この武術が元に生まれたのが柔道、合気道、日本拳法があります。戦後に競技化に向かったのが柔道、護身術として完成したのが合気道、自衛隊格闘術になったのが日本拳法です。他国の武術との大きな違いは、相手を殺傷せず、捕らえたり護身を重視したりする流派が多いことです。

ブラジリアン柔術

ブラジリアン柔術とは、寝技を中心とする組技系の格闘技です。1914年に講道館柔道の猛者であった前田光世がブラジルに渡り、ブラジル人のカーロス・グレイシーに伝えたのが始まりで、グレイシー一族は、その後80年もの間、改良・発展させグレイシー柔術を確立しました。

1993年に、アメリカで開催された総合格闘イベントの「アルティメット大会(UFC)」の記念すべき第1回大会で、ホイス・グレイシーが圧倒的な強さで優勝したことで、グレイシー柔術が注目されることになりました。

その後、グレイシー柔術は「ブラジリアン柔術」と呼ばれ認知され、国際ブラジリアン柔術連盟(IBJJF)が統括し、整備されたルールの中で試合が行われています。この柔術も、投げ技、押さえ込み、関節技、絞め技により勝敗が決められ、打撃攻撃は禁止されており、格闘技としての実戦性を備えながら、護身術としても普及しています。

日本では、1997年に日本ブラジリアン柔術連盟(JBJJF)がIBJJFの傘下団体として設立され、日本でのブラジリアン柔術の普及および選手強化と指導者育成に取り組んでいます。

柔術の試合での決まり事

写真提供 = LIDERO / shutterstock.com

ここでは、ブラジリアン柔術について、IBJJFの定めるルールの説明をしましょう。

試合場

最低8メートル四方の、18枚のマットが敷かれる対戦エリアと、それを囲む色違いの14枚のマットからなるセーフティエリアから構成されます。

審判員

1名または3名の審判員が審判します。

道衣

綿、または綿に近い生地で作られているもので、対戦相手が握りづらい厚さや硬いものは不可。色は青、黒、白で上下衣とも同色、襟も同色、両者が同じ色の道衣の場合は、区別しやすいように一方の選手が黄色と緑の帯を締めます。ペイントは禁止、パッチはルールで定められた貼り付け許可部位のみ貼り付け可能です。帯は選手それぞれのランクに応じた色の、先が黒になっている、4〜5センチ幅の帯を使用します。*ただし、大会によって規定が違いますので、注意が必要です。

上衣は競技者の臀部を覆う長さで、袖は手首から5センチ以内の長さが必要です。男子は上衣の下にシャツの着用は禁止、女子は体に密着する伸縮性のある半袖または長袖のシャツの着用が義務付けられています。ズボンの長さは、くるぶしの上5センチ以内に届くもので、男子はズボンの下に膝丈下のインナーパンツを穿くことは禁止、女子は体に密着する伸縮性のあるインナーパンツの着用はできますが、道衣のズボンより短い丈でなくてはいけません。

試合時間

試合時間は帯の色と3区分によって定められています。帯の色には、段級位の最下位の白から、青・紫・茶・黒の5段位があり、年齢でアダルト、マスター1、マスター2以上の3区分があります。アダルトは18から29歳、マスター1は30から35歳、マスター2以上は36歳以上5歳ごとに分かれ、マスター6は56歳以上です。段級位が上がるにつれて試合時間が長くなっています。

アダルトマスター1マスター2以上
白帯5分白帯5分白帯5分
青帯6分青帯5分青帯5分
紫帯7分紫帯6分紫帯5分
茶帯8分茶帯6分茶帯5分
黒帯10分黒帯6分黒帯5分

勝敗の決定

勝敗は、サブミッションと呼ばれる関節技・絞め技で相手を降参させる(降参の合図は、床を2回タップする)ことによるもの、中止・失格・失神によるもの、時間内に勝敗が付かなかった場合には、ポイントシステムによる両選手の獲得ポイントの差で勝敗を決め、全て同点の場合は、審判員が優勢を判断して勝者を決めます。引き分けはありません。

ポイントシステム

かけた技によって4ポイント以下のポイントが与えられます。ポイントには至らないが、技の効果があったと認められた場合には、技をかけた選手にアドバンテージが与えられます。

4ポイント ~マウントポジション(馬乗りの押さえ込み)、バックコントロール(背後からの押さえ込み)

3ポイント ~パスガード(ガードしている相手への押さえ込み)

2ポイント ~テイクダウン(相手を倒し上位のボジションを3秒以上維持)、スイープ(ガードポジションから返し技で上位になり3秒以上維持)、ニーオンベントリー(膝で相手の腹部を押さえる)

逆に、積極性が見られないなどの反則行為があった場合には、行為を行なった選手にペナルティーが与えられます。

得点板の上の選手が審判の右側に立った選手、下の選手が左側の選手、時間切れとなった場合には、ポイント合計の多い選手、アドバンテージが多い選手、ペナルティーが少ない選手の順で勝者を決定、全て同点の場合は、審判員が優勢を判断して勝者を決めます。

反則

反則行為である以下の行為をすると、1度目は注意、2度目からはペナルティー、4度目で失格、スイープの場外逃避は即時ペナルティー+2ポイントが与えられます。

  • 戦意の欠如(ストーリング)
  • 場外逃亡
  • 交戦に戻らない

以下の反則行為をした場合には、失格になります。

  • 相手を持ち上げて叩きつける(スラム)
  • 膝を捻る(ヒールフック)
  • カニバサミ
  • 頚椎への攻撃など

試合のクラス分け

ブラジリアン柔術の試合では、帯の色で試合時間、体重ごとに階級が分けられています。これらは、ほぼ同じ技術ランクと年齢、体重の選手同士で試合ができるという意味では公平な試合制度といえるでしょう。

帯の色には、白・青・紫・茶・黒の5種類があり、年齢でアダルト、マスター1、マスター2以上の3区分があります。

体重の階級には、道衣込みの重量で最軽量のルースター級から、ライトフェザー級、フェザー級、ライト級、ミドル級、ミディアムヘビー級、ヘビー級、スーパーヘビー級、ウルトラヘビー級、体重無差別参加のオープンクラスまでの10クラスに分けられています。*アダルト以上の区分です。体重はその階級の上限(以下)です。

階級名女子男子
ルースター級48.5キログラム57.5キログラム
ライトフェザー級53.5キログラム64.0キログラム
フェザー級58.5キログラム70.0キログラム
ライト級64.0キログラム76.0キログラム
ミドル級69.0キログラム82.3キログラム
ミディアムヘビー級74.0キログラム88.3キログラム
ヘビー級79.3キログラム94.3キログラム
スーパーヘビー級84.3キログラム100.5キログラム
ウルトラヘビー級84.4キログラム超100.6キログラム超
オープンクラス無差別無差別

2021年の試合開催情報

ブラジリアン柔術 2021年の大会

JBJJFは全日本ブラジリアン柔術選手権大会など、日本国内の大会を開催していますが、 2021年は新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、以下の大会開催が延期されています。

2021年2月14日 神奈川県・横浜武道館にて開催予定でした、第1回全日本ブラジリアン柔術無差別級選手権

 2021年2月14日 東京都・駒沢オリンピック公園総合運動場 屋内球技場にて開催予定の、第15回全日本マスター柔術選手権

*今後の予定はJBJJF公式サイトおよびSNSで随時案内の予定です。

大会と試合について

JBJJFの大会システムでは、ほぼ毎月一回は試合が行われています。大会の表彰では、チャンピオンに金メダル、準優勝者に銀メダル、第3位の2名に銅メダルがそれぞれ与えられます。

試合はワンデイのトーナメントで、参加者数が多い階級では、勝てば勝ち進んで1日に5~6試合行なうこともありますが、初戦負けなら4~6分で終了です。

 まとめ

柔術の中から、ブラジリアン柔術について、競技の成り立ちや、ルール、試合について説明をしました。

新型コロナ感染症の拡大により、接触競技であるブラジリアン柔術は大会の延期を余儀なくされています。早い終息の後に、大会への参加や大会を観戦する機会が増えるようになることを期待しましょう。

(TOP写真提供 = sportpoint / Shutterstock.com)


《参考記事一覧》

IBJJFルール (JBJJFホームページ)

ブラジリアン柔術とは (JBJJFホームページ)

古流柔術 (ピクシブ百科事典)

 
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