NFL(National Football League)は、アメリカで人気の高いプロのフットボールです。
そんなNFLは企業が大金をつぎ込むキラーコンテンツですが、その仕組みについては分からない方もいることでしょう。NFLと放映権契約を締結している企業は4社ありますが、継続更新するのか現時点では分かりません。
本記事では、NFLの放映権をテーマに解説しています。放映権の仕組みや影響力などについても紹介しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
放映権料の仕組み
NFLと放映権契約を締結している企業は、下表の4社です。
テレビ局 | 概要 |
Fox | 全米で放送中のドラマやエンタメなどを集めた総合チャンネル |
ESPN | ディズニーメディアネットワーク参加のスポーツ専用チャンネル |
CBS | アメリカ最大のメディアネットワークを有する放送局 |
NBC | アメリカの大手メディアネットワークを有する放送局 |
なかでもNFLとESPNの放映権は2021年で満期を迎え、他3社(Fox、CBS、NBC)は2022年で契約が切れます。
ちなみに、ESPNはNFLプレーオフの1試合で1億ドルを超える金額を支払っていますが、それだけの価値があると見込んでいるということがいえます。そして、NFLと放映権を締結する理由は、下記の2つが挙げられます。
- 試合数が増加傾向にあること
- NFL中継がキラーコンテンツであること
NFLの試合は、年間を通してトップ100の番組のうち約60%を占めます。また、オリンピックがない年は70%を超えることもあるキラーコンテンツです。これほど人気の高いNFLでは、下記の3つの仕組みによって資金力だけでなく戦力やマーケット規模の均衡を保っています。
- レベニューシェアリング:相互協力によって生み出された利益を分配
- サラリーキャップ:選手年俸を収入に応じて上限金額を調整
- ウェーバー制ドラフト:選手の独占指名権
NFLの放映権契約を締結している企業は、双方でリスクを共有し、あらかじめ決められたルールに則って利益を分配するレベニューシェアリングを採用しています。
ちなみに、2019年におけるNFL収入の内訳は、49.7%が放映権、25.8%が入場料、10.0%がスポンサー、14.5%がその他となっています。
しかし、2020年に拡大した新型コロナウィルス感染症の影響を受け、ViacomCBS(CBSの親会社)の株価が38%減少するなど収入が大幅に激減しました。そのため、サラリーキャップによって、所属選手に支払う年俸総額の上限金額にも影響しました。
放映権が持つ影響力
NFLの放映権は、日本円に換算して年間約350億円ともいわれています。また、1試合で2億9200万ドル(300億円)の広告収入が得られることも珍しくありません。
それほど大きな資金規模を持つNFLですが、もちろんCM料金も破格です。例えば、30秒間のCMで400万ドル(約4億円)。それゆえ、1試合の中継で稼ぎ出す広告収入は、2億9200万ドル(約300億円)にものぼるといわれています。
これだけ大きな広告収入が動くことを考えれば、いかにNFL中継がキラーコンテンツであるのかが分かりますよね。
ちなみに、レギュラーシーズンの放映権は、2013年時点では総額19億ドル(約1900億円)でした。しかし、2014年には大幅に増額更新され総額31億(約3100億円)。以降、2022年までの契約期間は、日本円で年間約350億円という流れで各社契約が締結されています。
このように人気も高く世界的にも注目されているNFLですが、将来的には放映権がさらに増額すると見込まれています。そもそも、NFLの放映権契約の締結期間は9年間。今回は、2022~2023年シーズンに満了を迎えます。この放映権は427億ドルで売却され、年額に換算すると59%も上昇しました。このことから、次期放映権は、600億ドルを超えると予想されています。
スーパーボウルの影響力は、爆発的に大きく、2015年時点で5億8000万ドル(約705億円)にものぼりました。これは、ワールドカップやオリンピックを超える規模です。ちなみに、スーパーボウルの収入はNFLのチーム1つ分といわれています。
放映権契約を結んでいる企業
NFLの放映権契約を締結している企業は、下記の4社が挙げられます。
- Fox
- ESPN
- CBS
- NBC
FoxとCBSが日曜午後の試合を分け合い、NBCが日曜日及び開幕戦のナイトゲームを放送しています。また、ESPNが月曜日のナイトゲームを放送するなど、時間帯を変えながら各企業が上手く競合を避けています。
ちなみに、上記4社は2022年まで毎年50億ドルを超える金額をNFL側に支払っています。
そもそも、Foxとは全米で放送中のドラマやエンタメなどを集めた総合チャンネル。視聴可能世帯数は驚異の700万世帯を超えます。全米のゴールデンタイムで放送している人気ドラマだけでなく、バラエティやスポーツなども取り扱っています。なかでも、NFLはスポーツ番組でも人気の高いコンテンツといえます。
また、ESPNは、ディズニーメディアネットワーク参加のスポーツ専用チャンネル。1030万人を超える会員数を誇る大人気のコンテンツです。さらに、CBSとNBCは、ABCと並ぶ3大ネットワークの1つです。
ここでNFL関連の企業をピックアップしますが、TNF(Thursday Night Football)の放映権契約を、2017年シーズンから2022年シーズンまで契約更新したAmazonについて紹介します。配信としてはグローバルで、日本でもプライムビデオ会員限定で視聴可能。今後も各企業の会員向けサービスが広がりをみせることは間違いないでしょう。
まとめ
本記事では、NFLの放映権の仕組みや影響力について、詳しく解説してきました。NFLの放映権は、将来的には600億ドルを超える可能性もあり、広告を媒体としたスポーツマーケティングには欠かせない事業といえるでしょう。
また、「Fox」「ESPN」「CBS」「NBC」の4社がNFLと放映権契約を締結するなか、放送する時間帯を変えながら重複しないような仕組みを持ちます。これだけ大きなマーケティング市場の背景には、アメリカの4大スポーツとしての人気が高いことが伺えます。
今後もスポーツマーケティングとして需要も高まる傾向にあるため、その注目度は図り知れません。そのため、事業として参入することを検討している企業もあることでしょう。
本記事が、NFLの放映権について知りたい企業の担当、マーケターの参考になれば幸いです。
(写真提供 = Fredrick Lee / Unsplash.com)
《参考記事一覧》
NFLの放映権料交渉(テキサス工科大学スポーツマーケティング研究室)
スーパーボウル1試合でCM300億円!?放映権料で考えるスポーツの「価値」(Number)