体脂肪率計算機を活用しよう! ~体脂肪計算機の仕組みと使い方、体脂肪の落とし方のポイントを説明

最近では体重計に体組成計がついていて、体脂肪率を簡易に計算することができるようになりました。統計や経験からかつてより精度が高まり、健康な体の維持のための指標となっています。これも体脂肪の計算法のひとつを応用した機器ですが、ネットに「体脂肪率計算機」というサイトを見かけます。この計算機の仕組みと活用法、体脂肪を減らすために気をつけるポイントについて説明しましょう。

体重計がなくてもOK!体脂肪率の計算機とは

体脂肪率の計算機とは

ネットで「体脂肪率の計算機」として検索すると、多くの計算機サイトが出てきます。体脂肪率計算ツールでは、男女の性別、年齢、身長、体重(ツールによっては加えて季節)を入力すると、体脂肪率と体脂肪量を計算してくれます。それぞれの計算式をひも解くと、統計から割り出された数値を使い、性別要因と季節要因は指数をかけることになっていることが分かります。

 よく活用されているのは、2016年に高知大学理学部の発表した体脂肪率推定式で、統計から、

体脂肪率(%)=(46.1×体重kgー685×性別ー8.9×身長センチ+3.8×年齢ー23.8×季節+302)÷体重kg 

が導き出され、この式がツールには使われ計算しています。(性別は、男性なら1、女性なら0、季節は、夏なら1、冬なら0をかけます。)

 体脂肪率計算機以外の体脂肪測定方法

 体脂肪率計算機のツールは、体脂肪率の目安とするには便利なツールです。これ以外の体脂肪測定方法には以下の方法があります。それぞれ欠点があるため、簡単に正確な数値が得られるものではありませんが、例えばキャリパー法で継続的に同じ方法で行うことで傾向値は得られます。

 ①キャリパー法による体脂肪測定

キャリパー法では、スキンフォールド・キャリパーという器具で体の特定の場所の皮下脂肪を摘み、脂肪の厚さを測ることで計測します。比較的正確と言われていますが、欠点は測定者の経験により測定誤差が発生しやすいこと、測定結果から体脂肪を計算する際に変換誤差が発生することです。

 ②水中体重秤量法(水中体重測定法)

この方法は、伝統的で、最も正確と考えられている方法で、被験者は水中で肺の中の空気を全て出し切り体重を測り、陸上での体重との差から体密度を計算します。欠点としては、体密度から体脂肪に転換する時の計算に誤差が生じやすいこと、水中での測定が被験者の経験に左右されることです。

 ③近赤外線の感応抵抗(NIR)

上腕二頭筋に赤外線を当て、光の吸収と反射から脂肪の厚さを測定します。1ヶ所のみの測定には正確さに限界があることと、測定結果を体脂肪率に変換する際に誤差が生じること、遺伝的に太い腕の人々には正確さに限界があります。

 ④デキサ(DXA)法

2種類の異なる波長のX線を体に当て、体における各組織の透過率の差から体脂肪率を測定する二重エネルギーX線吸収法を言います。かなり正確に測定できるものの、放射線を使う大掛かりな設備が必要なため、誰でもが簡単に測定できるものではありません。

⑤生体インピーダンス法(BIA)

市販されている体重計や体組成計には、体脂肪を測る機能がついています。仕組みとしては、体内に微弱な電気を流し、その反応する速度を測ることで体内の水分の分布を読み取り、体脂肪率の目安を測定するものです。測定時間が短く、使いやすい長所がある反面、水分摂取の量や、1日のうち朝と夜とでも数値が違う、変換式の性質上の問題などの欠点があります。

そもそも体脂肪率って…?

写真提供 =Szabolcs Toth/ Unsplash.com

体脂肪率とは

体脂肪率は全体重に占める脂肪の割合のことを言います。一般成人では、体脂肪率は女性なら20〜29%、男性は10〜19%が健康的とされていて、女性ですと30%、男性ですと25%を超えると肥満とされます。一般に女性は、妊娠や出産にある程度の脂肪が必要になるので体脂肪率が高い傾向にあります。

 脂肪とは

食物の3大栄養素のひとつで、炭水化物・タンパク質とともに摂取しなくてはならない栄養素です。脂肪には、細胞膜を構成する、エネルギーを貯めておく、体温を保持する、外部の衝撃から内臓を守るという主な役割があります。脂肪は炭水化物と同様、エネルギー源となり、炭水化物の約2倍のエネルギーを生じる効率のよいエネルギー源です。ただし、炭水化物よりも燃焼に時間がかかるので、摂取よりも運動が少ないと体脂肪として蓄積されてしまいます。

 脂肪が不足するとどうなる?

では、脂肪を摂らないとどうなるでしょうか?症状として現れるのは、肌荒れや髪の毛がバサついてくる、エネルギー不足になる、ひどくなると気分が落ち込んだりイライラしてくることになります。見えない部分では、血管や細胞膜がもろくなり、最悪脳出血などの危険が出てきます。

 体脂肪が増えるとどうなる?

一方、体脂肪が蓄積してくると、体のプロポーションが崩れ、体を動かすのが億劫になり、さらに運動不足という悪循環になります。体脂肪が溜まりすぎると生活習慣病を引き起こすリスクが高まります。

 体脂肪の種類

体脂肪には、皮下に溜まる皮下脂肪と、内臓周りに溜まる内臓脂肪があります。内臓脂肪が厄介で、増えすぎることで高血圧や高脂血症、糖尿病、動脈硬化などの生活習慣病に進行するリスクが高まります。これは、内臓にある脂肪細胞が脂肪を抱えるだけでなく、ホルモンなどの物質を分泌するのですが、それら物質が生活習慣病を引き起こす原因物質になるからです。

BMIとは

BMIは体格指数とも呼ばれ、体脂肪率との相関性が高く、国際的な肥満判定に使われています。計算式は、BMI=体重(kg)÷〔身長(m)の2乗〕です。例えば、体重65kg、身長180cmの人のBMIは、65÷〔(1.8)2乗〕=20.06、日本ではBMI 18.5〜25までは標準ですので、標準になります。「日本では」と言うのは、肥満の基準は体質的に国によって違いがあり、日本ではBMI25以上が肥満ですが、国際的なWHO(世界保健機構)の基準では25以上30未満を肥満前段階、30以上を肥満としています。

 内臓脂肪型肥満かどうかの目安

また、BMIが高いと体脂肪率も高いと統計上分かっています。ただし、内臓脂肪が高いかはBMIと体脂肪率だけでは分かりません。正確に調べようとするなら、DXA法や腹部CTを撮るなどの手段はありますが、ただ、目安としては、お腹周りに脂肪がついているか、ウエストの周囲径で見分けます。BMIが25以上、かつ、ウエストの周囲径が男性で85センチ、女性で90センチを超えると上半身肥満の内臓脂肪型肥満が疑われるので注意しましょう。

体脂肪率を減らすにはどうしたらいい?

さて、それでは体脂肪率を減らす(=体脂肪を減らす)にはどうしたらよいでしょうか?人間が生活していくためには食事を取ります。その食事から摂取するエネルギー量と、日々の活動による消費エネルギー量とのバランスが重要です。

 部分筋トレは体脂肪減少に有効か

例えば、お腹周りの脂肪を減らすために腹筋運動をトレーニングに組み込むことは効果的でしょうか?実験をしたところ、運動の前と後では腹部の筋肉は強くなりましたが、腹部の体脂肪の割合は体の他の部分と変わらなかったとの結果が得られています。このことから、ある体の一部が活発に動いたところで、部分的に体脂肪が減るわけではなく、脂肪は体のすべての部分で運動が長く継続し、エネルギー源が不足した際に体全体から燃焼されることが分かります。

 低強度の有酸素運動の効果

体全体の運動を行うには、ウォーキング、ジョギングやスイミングなどの低強度の持続可能な有酸素運動が効果的です。高強度のトレーニングはエネルギーを多く消費しますが、長く持続するには大変です。トータルで多くの脂肪燃焼をするには低強度のトレーニングを行うことがよいでしょう。目安としては、最大心拍数の65%〜80%の運動が最も脂肪が燃える「ファットバーンゾーン」と言われています。最大心拍数の簡易計算法では、220−年齢です。

筋トレと有酸素運動の組み合わせ

筋トレをすることで脂肪は燃えます。部分的に腹筋だけでは体脂肪は燃えないにしても、筋トレ後に有酸素運動を組み合わせることで、効果的に体脂肪を燃やすことができます。最初に汗ばむ程度の筋トレをすることでアドレナリンが放出され、脂肪が分解されやすい状態ができます。その状態で有酸素運動をすれば脂肪燃焼に効果的です。

 食事で気をつけたいこと

摂取エネルギーが消費エネルギーより大きいことで体脂肪は増えます。体脂肪がなかなか減らない場合には、ぜひ摂取エネルギーを見直してみましょう。3食の食事メニューから摂取エネルギー量を計算し、それよりも少ない食事を心がけてみます。その際には脂質を抑え、タンパク質を中心とした献立がよいでしょう。

 また、食事から睡眠前に2時間は確保し、胃の負担を少なくして睡眠時代謝を活用しましょう。就寝中にもエネルギーは消費され脂肪は燃焼します。就寝中に胃に残留物がない場合は、脂肪を優先的にエネルギーに変えます。一方残留物がある場合は、その食べ物を体脂肪に変えてしまいます。胃を空腹にしてから就寝するようにしましょう。

まとめ

体脂肪率の計算機について、その仕組みと活用法、体脂肪を減らす方法について説明しました。

 体脂肪の正確な計算は大掛かりな機械がないとできませんが、簡易法を継続的に使うことで、脂肪の減少、筋肉の増加、体調を整えたり痩せたりなどの体の変化をつかむ指標としては有効です。

 また、体脂肪の減少には、筋トレ、低強度の有酸素運動、食事コントロールをバランスよく行うことが効果的です。

 これらツールを活用することで、ご自分の体の状態を把握し、健康な生活を続けていきましょう。

(TOP写真提供 = i yunmai/ Unsplash.com)


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