マインドフルネスの市場規模はどれくらい?今後の展望は?

現代は、自動車などの便利な機械の普及により、「肉体的」な疲労は軽減されています。しかしその分、「精神的」なストレスは増加している傾向があります。

マインドヘルスを保ち、健康な生活を送るために、今注目されているのが「マインドフルネス」です。

この記事では、マインドフルネスがどの程度の市場規模に成長しているのかを説明していきます。また、マインドフルネスビジネスが注目されている理由と、マインドフルネス市場がどう変化していくのか、その展望についても解説します。

マインドフルネスの市場規模はどのくらい?

マインドフルネスは、仏教では昔からあった概念です。しかし、宗教色を抜いた現在のマインドフルネスが注目されるようになったのは、2000年代になってからのことです。

そのため、マインドフルネスにどの産業分野が含まれるのか、ハッキリとした定義はできていません。

「医療」「教育」「ヘルスケア」「アート」「コンテンツ産業」「観光」「娯楽」「AI」などさまざまな産業にマインドフルネスが関わってきています。

どの分野のマインドフルネスで計算したのかは不明ですが、2020年のある調査では、日本人の「約200万人」が月に1回以上マインドフルネスをしていて、その市場規模は「約450億円」ほどとなっています。

また同調査では、900万人程度の人がマインドフルネスに興味を示している、とされています。興味がある人が多いせいか、マインドフルネス市場は2023年には「2,500億円」規模になっていると想定されています。

・アメリカのマインドフルネス市場

アメリカでは、2016年の調査ですでにマインドフルネス市場は約1,21億ドル(当時の為替レートで1,300億円程度)になっていて、マインドフルネス利用者も約3,600万人となっています。

その調査では、2022年には、マインドフルネス市場が2.08億ドル(現在の為替レートで2,600億円程度)を超える見込みだとされていました。

2023年の日本のマインドフルネス市場規模予想が2,500億円のため、だいたい同じぐらいの市場規模になるという予想です。

しかしマインドフルネスにおいてはアメリカが先進国で、日本とは比較にならないほど流行しています。

アメリカの調査では年平均「11%」程度マインドフルネス市場が成長すると予想されているのに対して、日本市場の調査では、2020年に450億円のマインドフルネス市場が2022年には2,500億円になるとなっています。

そのため、日本市場の調査は、やや過大な想定をしていると思われます。

アメリカの瞑想アプリを販売している会社の中には、年に「100億円」以上売り上げているところもありますので、アメリカの調査データは妥当なものでしょう。

・世界のマインドフルネス市場

世界全体の「瞑想アプリ」市場は、2021年で3.7億ドル(当時の為替レートで400億円程度)となっています。

この数値から、マインドフルネス市場の中で、瞑想アプリが大きな割合を占めていることがわかります。また、アメリカ企業の販売している瞑想アプリが、世界の売り上げで大きな割合を占めていることもわかります。

2021年に1位の「Calm」は約1.2億ドル(130億円程度)を売り上げていますし、2位の「Headspace」は約8,500万ドル(95億円程度)の売上があります。

マインドフルネス市場が注目される理由

写真提供 =Yan Tran / Unsplash.com

現代は「ストレス」が多い社会です。さらに新型コロナの蔓延によって、全世界で精神的なストレスに苦しむ人が増加しています。

ある日本の調査によると、2020年のストレスを感じている労働者は79%にもなっています。2018年の同じ調査では、ストレスを感じている人の割合は59%でしたから、大きく増加していることがわかります。

もちろん、世界的にみても新型コロナによる閉塞感は強く、世界各国でメンタルヘルスの問題は深刻化していっています。

こうした状況に対応して、精神の安定をもたらすマインドフルネスが注目を集めているのです。

・マインドフルネス先進国のアメリカでは大手企業が導入済み

現代のマインドフルネスは、アメリカで提唱され発展してきています。アメリカでは、実際にマインドフルネスを導入して社員のメンタルヘルス維持に努めている企業も多く、おもに次のような会社がマインドフルネスを組み込んでいます。

  • グーグル
  • インテル
  • フェイスブック
  • アップル

こうした誰もが知っているような世界的な大企業が、マインドフルネスを取り入れています。

むしろアメリカでは、マインドフルネスを取り入れているかどうかは、労働者が会社を選ぶ重要な要素の1つになっており、「メディケーションルーム」が無い会社は評価が下がってしまうほどです。

・マインドフルネスを導入した結果

マインドフルネスを実際に導入することで、会社の運営に良い影響が出たというデータが報告されています。

ある会社でマインドフルネスを12週間導入したところ、社員のストレスが軽減され、睡眠障害に陥る人も減少したという結果が出ています。

さらに、社員に使われている「医療費」も削減されました。社員のマインドヘルスが改善した結果、各社員が生み出す利益も増加しました。マインドフルネス導入にかかった費用の11倍の利益がもたらされた、と報告されています。

別の企業では、社員にマインドフルネスを実施したところ、現場で発生する「事故件数」が減少したという報告がなされています。

マインドフルネスは、社員の「健康」と「満足度」を高め、会社の支出する「医療費」を削減し、「売上げアップ」に寄与することが期待できます。

マインドフルネス市場 今後の展望は

世界の瞑想アプリの売上は、次のように増加してきています。

瞑想アプリ売上
2015年800万ドル
2016年1,900万ドル
2017年5,500万ドル
2018年1億2,800万ドル
2019年1億9,500万ドル
2021年3.7億ドル(予測)
2022年4.9億ドル(予測)
2027年64億7,850万ドル(予測)

一目で瞑想アプリが発展著しい分野であることがわかります。

マインドフルネス全体でみても、「mindfulness」という単語の「検索件数」が、年々右肩上がりで増加していることから、マインドフルネスに興味を持つ人が増え続けていることがわかります。

アメリカでは2012年に「約985万人」がマインドフルネスに関わっていましたが、2017年には「3,600万人」まで利用者が増加しています。

このようなデータから考えると、マインドフルネス市場は今後も発展を続けると考えられます。

特に日本のトレンドはアメリカの後追いをすることが多いため、今マインドフルネスに参入する日本企業は、大きく成長する可能性を秘めています。

まとめ

もともとマインドフルネスは、仏教の「正念」を英訳したものです。今は宗教要素を排除し、医療行為としてマインドフルネスという言葉が使われるようになっています。

アメリカで発展したマインドフルネス市場は、年々規模を増加させています。日本にもマインドフルネスビジネスは入ってきており、ある調査によると2020年に約450億円の市場になっていた、とされています。

マインドフルネス市場は、右肩上がりで大きくなっていて、その傾向は今後も続くと考えられています。

(TOP写真提供 = Mor Shani  / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

有名企業も導入するマインドフルネスの実践方法やその効果とは? | (リーダーのメモ帳)

$1.2 Billion U.S. Meditation Market To Grow Strongly, Following Path of Yoga Studios | (WebWire)

生産性も向上「マインドフルネス」注目の背景 | 最新の週刊東洋経済 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース(東洋経済ONLINE)

マインドフルビジネス |自社製品 セミナーは鎌倉のZENschool|トゥルーイノベーション理論に基づく各種ワークからの事業実現(ZENschool)

米国マインドフルネス・マーケットのトレンド|にこフル中村悟|note(にこフル中村悟|note)

マインドフルネス市場は成長確実?コロナ禍でメンタルヘルス関連アプリの売上増加へ=シバタナオキ | (マネーボイス)

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マインドフルネス瞑想アプリ市場:現在の分析と予測(2021-2027) 48.2%の合理的なCAGRで|Univdatos Market Insights Private Limitedのプレスリリース(PRTIMES)

マインドフルネス(Wikipedia)

マインドフルネスとは?意味やマインドフルネス瞑想のやり方と効果、メリットについて説明します - (LITALICO仕事ナビ)

【日本におけるマインドフルネス市場調査を実施】マインドフルネス瞑想でメンタルヘルスを改善 | (ラッセル)

マインドフルネス瞑想関連市場、40%強の成長へ!|株式会社AQU先端テクノロジー総研のプレスリリース(@Press)

マインドフルネス瞑想関連市場、40%強の成長へ! トランステック、瞑想関連ビジネス調査報告書まとまる! AQU先端総研 - 株式会社AQU先端テクノロジー総研のプレスリリース(value press)

マインドフルネス市場の現状と今後の考察について | (Relook瞑想メディア)