ATPファイナルズでも採用されるDUNLOP。ATPツアー「公式球」までの道のりと、大会で試みるアクティベーション

11月19日まで開幕中のテニス男子ツアーの最終戦「Nitto ATPファイナルズ」。全世界が注目するトーナメントで公式球の供給を行うのが、住友ゴム工業のテニスブランド「DUNLOP」だ。2019年からATPツアーの公式球となり、ATPが主催するATPファイナルズでも使用される。日本ブランドがグローバルスポーツの舞台で採用されるまでの舞台裏と、今年の大会で取り組む活動について同社に聞いた。

トップブランドDUNLOPの「プライド」

ATPとのパートナーシップは、慌ただしい始まりだった。

2019年1月からATPとの契約開始を控えていたDUNLOPは、来る日に向けて準備に取り掛かっていた。同時期にATPはリブランディングを進めており、それによりロゴデザインが一新。公式球の製造に変更が生じ、ボール販売に向けて段取りをしていた中、急ピッチで対応を求められることとなった。

リブラディングで策定されたATPの新たなスローガンは、「Love It All」。カジュアルなスポーツファンにもテニスに興味を持ってもらいたいという願いが込められている。波乱のスタートを切ったパートナーシップだったが、このスローガンはDUNLOPの想い「Love The Game」にも重なるものだった。

「DUNLOPはテニスボールのトップブランドであることの矜持、プライドとして『テニスを楽しむ人たちが、思いきり自分のパフォーマンスを発揮できること』を大切にしています。これは、ATPツアーの公式ボールになるずっと前から大事にしていることでした」

こう語るのは、住友ゴム工業の鈴掛彰悟氏。同社のテニスビジネスでグローバルマーケティングとプロツアーを統括する人物だ。

DUNLOPはATPツアーの4割以上の大会で使用されている。写真提供=ATP

高品質のボールを製造する同社の評判はテニス業界で高く、ATPはリブランドのタイミングで新たな公式球に切り替える判断をしたことになる。テニスにとってのボールの重要性は言うまでもないが、ATPでパートナーシップ&ビジネスデベロップメントのバイスプレジデントを務めるロドルフ・タステット氏は以前こう話していた。

「ATPツアーで選手たちに最高のボールを用意することは最重要事項のひとつ。私たちはDUNLOPのボールが最適であると自信を持っています」

ATP側は選手たちから常にフィードバックを得て、気になるコメントがあれば随時DUNLOPとコミュニケーションを図り、改善に向けた議論をしている。ボールひとつで選手のパフォーマンスに直に影響し、怪我にもつながる可能性もある。これらを避けるべく常に高品質なボールの提供に努めている。

「品質をもとに信用を積み重ねていく」

グローバルスポーツの舞台でブランドが評価されるためには何が必要なのか? DUNLOPが全豪オープンを皮切りにATPツアー自体の公式球となるまでの道のりが、そのヒントを示している。

「最初のきっかけとして、そもそも『モノが良い』というのは大切です。でなければ声をかけられることはありません。その先は大会や協会とのやり取りですが、サンプルをいくつか紹介して、良いものにしていきましょうと話を進めていきます」(鈴掛氏)

住友ゴム工業 テニスビジネス グローバルマーケティング&プロツアー統括 鈴掛彰悟氏

大会側が求める品質をとことん話し合い、研究開発メンバーも参加してテストを重ね、実際にプレイヤーにも試打をしてもらう。「品質をもとに信用を積み重ねて、いい関係性をつくっていくことが重要ですね」と、鈴掛氏。

ATPツアーには、グランドスラムからATPファイナルズ、そしてマスターズ1000以下、各カテゴリで多くの大会が存在する。ATPツアーの公式球であるDUNLOPのボールは各大会に推奨されるが、ATPファイナルズを除いて、最終的にどのボールを採用するかの決定権は大会側にある。

選手のパフォーマンスを最大限に引き出すことができ、魅力ある大会となるよう主催者はボールを選ぶ。メーカーにとってはそれだけでも信頼の証となるが、さらにそのパートナーシップを発展的に活用しようというのがDUNLOPの発想だ。

パートナーとして取り組む「課題解決」

同社が取り組むのは、ボールの供給という枠組みを超えて、ATPや各国テニス協会などのステークホルダーが抱える悩みや課題をパートナーとしてどう解決していくかということだ。

例えば、現在どのスポーツにおいてもサステナビリティは欠かせないテーマになっているが、DUNLOPは昨年からグランドスラムのひとつである全豪オープンをはじめとする主要大会に、プラスチック使用量を削減したパッケージで公式球を提供している。

今後「脱プラスチック」をさらに進めるために紙素材を取り入れたパッケージも実験的に一部導入していたが、それを市販する目処も立ってきた。

DUNLOPではパッケージの脱プラをすすめる。写真提供=住友ゴム工業

「世界的にプラスチック削減の流れは大きく、DUNLOPでも推進しています」と、鈴掛氏。パートナーシップは大会の社会課題解決に貢献するとともに、自社製品のイノベーションにも役立っている。

また今年のATPファイナルズにあわせては、大会認知を高めるためトリノ市、ATPと協力して市内に16の巨大なDUNLOPのテニスボールのオブジェを出現。街の人々や来訪者にとっては、アイコニックなフォトスポットにもなった。

ブランドの「次の100年」に向けて

2023年、DUNLOPブランドはテニス事業を始めて100周年を迎えている。周年を祝うだけではなく、次の100年でどのようにテニス業界を発展させていけるかに目線を向けている。

「ATPとは『テニスを発展させていきたい』という大きな目的を共にしていて、私たちはボールを通してそれを実現していきます。高品質のボールを使って選手たちが良いパフォーマンスを出す。お客さんが良いプレーを見てテニスを楽しむ。テニスをもっと見たい、やってみたいという人が増える。そういった好循環を生むエコシステムをつくっていきます」(鈴掛氏)

DUNLOPとATPは17日(イタリア現地)、2028年までのパートナーシップの契約更改を発表した。左から)住友ゴム工業 テニスビジネス部長 山元健氏、ATP CEOマッシモ・カルベリ氏。写真提供=ATP

DUNLOPは高品質なボールを土台に、パートナーシップを通して大会、選手、ファン、自治体など多様なステークホルダーを巻き込みながらこれからのテニス界の姿を描く。

「ATPはテニスの発展に真正面から取り組んでいて、ここに“テニスの未来”が詰まっています。これからも一緒にエコシステムを発展させていけたらと思いますね」(鈴掛氏)

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