「世界のスポーツビジネスで戦える日本人を」 HALF TIMEカンファレンスがグローバルを目指す理由【開催レポート】

日本のスポーツビジネスはどこに向かうべきか?そのヒントを探るべく、6月30日から2日間に渡り『HALF TIMEカンファレンス2020 Vol.2』がオンラインで開催された。主催のHALF TIMEではイベントレポートを連載していくが、第1回となる本稿ではHALF TIME代表磯田のオープニングで語られた、開催の狙いについて振り返っていく。

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「スポーツの価値を高める」カンファレンスの意義

HALF TIME株式会社 代表取締役 磯田裕介

コロナ禍の中、多くのスポーツが動きを止めざるを得ない状況に追い込まれた。しかし、スポーツのない時間によって私たちはいかにスポーツがそれまでの日常の一部で、素晴らしいものであったかを再認識しているのではないだろうか。

HALF TIMEが主催するスポーツビジネスカンファレンス『HALF TIMEカンファレンス2020』は、そのスポーツの価値と未来を探るシリーズだ。今回の第2弾は、前回同様にオンラインで開催。2日間で述べ400名以上の聴講者を集め、北米、欧州、アジアの6ヵ国からゲストスピーカーが登壇し、文字通り世界をつないだカンファレンスとなった。

1日目のオープニングスピーチではHALF TIME株式会社代表取締役の磯田裕介から、まず今回さまざまな障害を乗り越えて参加を迎えることとなった登壇者や聴講者、そしてイベントパートナー企業へ感謝の意が述べられ、次にカンファレンス開催の意義が説明された。

「前回は世界5ヵ国から登壇いただきましたが、今回も世界のスポーツビジネスの最先端を担う方々に登場いただきます。なぜ世界からパネリストをお招きするのかというと、日本人が世界のスポーツビジネス界で戦えるようにしたいからです」

世界を目指す人材を育てるために、海外の最新の情報を直接届けるのがカンファレンスの第一義だという。そこには、磯田自身の経験から導き出された信念があった。

「私は日本で生まれ育ち、新卒で日系企業の日本法人で働き始めました。そのときは全く英語を使わなかったのですが、その後勤めたのはスポーツビジネスに特化したイギリス系ヘッドハンティング会社のシンガポール法人。日本人は一人しかおらず、日本文化のない場所で仕事をすることになったのです。その際に強く感じたのは、私が日本という島国で育ってきた特殊性でした。環境に適応するのに、とても苦労したのです」

この経験をもとに、日本で生まれ育った人間が世界のビジネスシーンで活躍するには、語学の習得よりもさらに先にある壁を突破しなくてはならないという結論に達した。そのためには、各国の文化を理解して、コミュニケーションを取ることでしか解決することができない。そこで、HALF TIMEを通してまずは海外の情報を届け、身近に感じてもらおうということだ。

磯田は最後にこう話す。

「HALF TIMEでは、今後は人材育成も手掛けていきます。英語力を伸ばし、学びの機会と人との出会いの機会を提供していきたい。これからもスポーツの価値を高めるために、リスクを恐れず活動していきます」

この言葉通り、今年8月からはスポーツビジネス専門のアカデミー『HALF TIME Global Academy』が新たに設立される。NYを拠点に国際的なスポーツビジネスを手がけるBlue United Corporation CEOの中村武彦氏を学長に迎え、初年度の今年は講義シリーズを展開。向こう3年でより深いコミュニティや長期コース、国際的なインターンシップの提供なども計画されている。

この8月は、スペインサッカーリーグのLaLigaや、欧州随一の人気クラブであるボルシア・ドルトムントから、第一線で活躍するビジネスパーソンを講師に迎えて、4回にわたりスポーツビジネスの基礎講座を展開する。全て英語での講義となり、変わりゆくスポーツビジネスの「現在」と、その土台にある「原理原則」を紹介していく予定だ。

▶︎HALF TIME Global Academy 公式Webサイト

子どもたちに「前を向ける機会を」

カンファレンス2日目のオープニングでは、新型コロナウイルスの感染拡大によって、スポーツビジネス界にも大きな影響があったことに触れつつ、プロ野球やJリーグがスタートを切ったことで徐々にスポーツが戻ってきている現状認識を示した。

「まだ予断は許しませんが、スポーツが再開されてきています。スポーツがない環境を経験したことで、改めてスポーツの価値を認識することができました。HALF TIMEでも、5月に13名のレジェンドアスリートの方から応援メッセージ動画をいただき、配信させていただきました」

【YouTube】#StayHome 13名のアスリートからメッセージビデオ

スポーツの価値を改めて感じたという磯田は、その視線を未来に向ける。その主役たちは、子どもたちだ。

「スポーツが奪われてしまった子どもたちに、何かしてあげられないかと考えました。私自身も、試合に負けて泣き、それをバネに成長したこともあれば、勝って仲間たちと喜んだこともありました。それらは、スポーツだからこそ味わえた得難い経験でした。そんな貴重な経験を子供たちにも提供したい」

こう話すと、今後のイベントを紹介し、次のように締めくくった。

「そこで、子供たちに向けたオンラインイベントを計画しています。未来に夢をつなぎ、前を向ける機会を作っていきたいと思います。今後は、スポーツに関わるみなさんに対し、ビジネスと社会貢献の両面で多くのサービスと機会をご提供できるように活動していきたいと思います」

HALF TIMEでは、8月9日(日)に子どもやその親を対象としたレジェンドアスリートのトークセッション、その名も『ぼくらのスポーツ』を予定している。これは言わずもがな、現在思い通りに体を動かせず、窮屈な思いをしているかもしれない子どもたちに、日本を代表するアスリートと交流してもらうことで、スポーツの良さを改めて感じてもらう取り組みだ。

参加アスリートは、水泳・北島康介氏、柔道・野村忠宏氏、フェンシング・太田雄貴氏、ラグビー・大畑大介氏、そして女子バレーボールの竹下佳江氏など、オリンピックメダリストや元日本代表選手の面々が揃う。きっと彼らを目の前にする子どもたちは、輝くような笑顔を見せてくれるに違いない。

▶︎「ぼくらのスポーツ」公式Webサイト

次回は、ONEチャンピオンシップ創業者会長兼CEOのチャトリ・シットヨートン氏、NBA India SVP及びMDのラジェッシュ・セティ氏、NFL ChinaでMDを務めるリチャード・ヤング氏といった、世界でビジネス展開するスポーツ団体のキーパーソンが登壇した、「アジア発&アジア市場におけるグローバルスポーツビジネス」の模様をお届けする。


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