医療とIT技術の関わりとは?注目のIT企業も紹介

IT技術はさまざまな分野で活用されていますが、医学の進歩とともに、医療分野でもIT技術の導入が不可欠になってきています。

IT技術を導入することにより、少ない時間で作業が進められる、経費が抑えられ病院の経営状況が改善される、などさまざまな恩恵がもたらされています。

この記事では、医療とIT技術の関わりについて説明していきます。また、医療に関わる注目のIT企業の紹介もします。

医療×IT企業、どのような関わりがあるの?

医療とITの関わりは古く、1950年代には導入が進められていました。実はこれは、日本独特の医療制度と関係しています。

日本では、医療に関するもの(治療、薬、医療材料)に点数を付け、その点数を合計したものを「診療報酬明細書(レセプト)」としてまとめています。医療機関は、このレセプトを支払機関に提出することで報酬を得ています。

紙のカルテの情報を集め、そろばんで計算して、書類をまとめる作業は非常に手間がかかり、昔はレセプトの提出期限前には、職員が徹夜で作業をしなければならないほどでした。

この手間を省くために、レセプト処理に特化したコンピュータである「レセコン」が、早い時期から大手の医療機関のほとんどに導入されていました。

・カルテの電子化

レセコンはすぐに導入されましたが、カルテの電子化は、海外と比べて遅れていました。なぜなら日本では、カルテは「紙媒体」のみが認められていて、カルテの電子化が許可されたのが1999年になってからのことだからです。

また、カルテの電子化は、レセコンの導入と比べると、医療機関の経済的なメリットが少ないということも、広まりが遅れた理由の1つとなっています。

しかし法改正後は、国もカルテの電子化を強く推し進めていて、大病院では導入率が80%を超える程度には普及が進んでいます。

・IT化しなければ情報処理をしきれない

昔は医療技術が未熟だったために、得られる情報もあまりありませんでした。そのため、手書きのカルテで、医療関係者が患者の状態を把握することも可能でした。

しかし今では、血液検査をするだけで「200項目」を超える検査結果が出てきます。またCTやMRIによるスキャンでもたらされる画像情報も膨大で、とても生身の人間だけで処理できるものではありません。

膨大な情報を管理、分析するために、医療システムのIT化は必須のものだと言えます。

・IT化は医療の効率化にもつながる

カルテを始めとした各種情報を紙ではなく、コンピュータに入力してしまえば、いつでも素早く情報を検索できるようになります。そのため、IT化は医療業務の効率化につながります。

また、ある病院で調べたデータを他の病院でも共有できるようになれば、病状の説明をする手間が省けますので、IT化で患者側の利便性も向上します。

さらに病床の稼働率や患者の来院数、人事管理などをIT化すると、病院の経営も効率化されます。

注目の医療系IT企業の取り組みをご紹介!

写真提供 =National Cancer Institute/ Unsplash.com

医療に関わるIT企業の中でも注目の会社を紹介していきます。

  • 鴻池メディカル株式会社
  • NECネクサソリューションズ
  • 株式会社NTTデータ・アイ

では、それぞれの会社について、詳しく見ていきましょう。

・鴻池メディカル株式会社

「鴻池メディカル株式会社」は、鴻池運輸から医療事業部門が独立してできた会社です。鴻池メディカルは、主に、「医療機器」を洗浄や殺菌して、医療活動を円滑におこなうサポートをしています。

また鴻池メディカルは、運送会社から始まった会社なだけに、物流管理にも秀でた能力を持っています。診療に使う材料や医薬品を管理するシステムを提供し、病院の業務の効率化を助けています。

・NECネクサソリューションズ

「NECネクサソリューションズ」は、2001年に、日本電気情報サービス(株)、NECテクノサービス(株)などの5社が集まって発足した企業です。

NECネクサソリューションズは、学校や製造業、出版業など、さまざまな業界の仕事を効率化するシステムを提供していますが、病院向けのシステムも手掛けています。

使いやすい電子カルテシステム「MegaOak-MI・RA・Is/AZ(メガオークミライズ/エーズィー)」や、病院経営全般をフォローする医療事務システム「MegaOakIBARSIII/LT(メガオークアイバースサード/エルティ)」など、さまざまなシステムを開発しています。

・株式会社NTTデータ・アイ

「株式会社NTTデータ・アイ」は、NTTデータの子会社で、NTTデータソリューション、NTTデータクリエイションなど4社が統合して発足しました。

NTTデータ・アイは、国や地方自治体などの各種システムを30年以上にわたって作り続けてきた実績を持つ企業です。その実力は医療の分野でも発揮されています。

NTTデータ・アイは、レセプト点検システムである「レセプト博士」のような病院業務を効率化するシステムも作っていますが、他に医療全体にかかわるシステム開発もしています。

健康保険のシステムや、医療機関への診療報酬支払いを審査するシステムにも、NTTデータ・アイは関わっています。

医療×IT企業のこれから

コンピュータ技術の発展は、医療の進歩に大きな恩恵を与えると考えられています。特に次のような技術は、今後の医療と密接な関わりを持つでしょう。

  • 人工知能
  • 認知コンピュータ
  • IoT

では、それぞれの技術について、詳しく見ていきましょう。

・人工知能

「人工知能(AI)」は、1950年ごろから研究が進められてきた技術です。しかし、コンピュータ自体が進化したことと、「ディープラーニング」という機械学習システムが発明されたことにより、近年第三次のAIブームが来ています。

人工知能は、さまざまな医療分野で活用されはじめています。まず今はCTやMRIといった医療機器が発達していますが、撮影した画像を医師の力だけで診断するのは、大きな労力がかかります。

しかし人工知能を活用すれば、すばやく画像の診断をすることができるようになります。

また人工知能は、過去のデータベースと照らし合わせて、患者の病名や病状を診断するといった使い方もできます。人工知能を活用することによって医師の負担を減らし、より多くの患者の治療をすばやくおこなえるようになっていくでしょう。

・認知コンピュータ

「認知コンピュータ(コグニティブ・コンピューティング・システム)」は、コンピュータが自律的に思考し、答えを導き出すシステムです。

人工知能と似ていますが、人工知能は人間の脳の機能を模倣しようとしているのに対して、認知コンピュータは、人間のサポートすることを目的としている点が異なります。

医学の研究論文は毎年膨大な数が発表されています。たとえばガンの研究論文だけでも、年に20万件ずつ増え続けています。これらすべてを人間が読むのは現実的ではありません。

しかし認知コンピュータなら、発表された医学論文などのデータをすべて読みこんで、独自の知見を出すことが可能です。こうして出された知見は、新しい医療技術や新薬の創造につながることが期待されています。

・IoT

「IoT」は、Internet of Thingsの略で、日本語では「モノのインターネット」という意味になります。

昔のネットと言えば、パソコン同士を結ぶだけのものでしたが、現在ではスマホを始め、テレビや電子レンジなど、さまざまなものがネットと接続する環境になってきています。

こうした日常生活に存在するIoTは、医療分野にも利用可能です。たとえばスマホを使うことにより、医師のいない場所からでも簡易的な診療ができるようになります。

また、腕輪型などの身につけられる情報端末に、「モニタリング機能」をつければ、心拍数や血圧、体温などのさまざまなデータを、日常的に管理することができるようになります。

まとめ

現在、技術の発展とともに、医療技術とIT技術との関わりが大きくなってきています。以前はレセプトを管理するだけだったIT技術が、電子カルテ、患者管理システム、薬剤管理システムなど、さまざまなことに利用されています。

また、「人工知能」と「認知コンピュータ」を医療を活用することにより、診断や治療、創薬などのさまざまな分野で、医療技術が発達することが予想されています。

他に、身近に増えてきたIoTを使って、病院に行かなくても、簡単な診断やデータ分析ができるようになることが期待されています。

(TOP写真提供 = Mockup Graphics  / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

コグニティブ・コンピューティング | IT用語辞典 | (大塚商会)

IoTとは?|IoT:Internet of Things(モノのインターネット)の意味、読み方、事例 – モノワイヤレス(Mono Wireless)

医療分野で進むIoTの導入、現状と今後の展望 | 【健診システム】クラウドで手軽・安価に利用「CARNAS」(カルナス)(CARNAS)

情報技術革命と医療の未来について|同友会メディカルニュース(同友会グループ)

日本の最先端の変革者たちが語る医療×ITの未来展望|(リクルートドクターズキャリア)

NECネクサソリューションズ(NECネクサソリューションズ)

鴻池メディカル株式会社|KONOIKEグループ(鴻池メディカル株式会社)

医療分野の情報化の推進について |(厚生労働省)

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