これを見ればわかる!NBAの年俸制度~年俸高騰の理由もあわせて紹介~

アメリカのバスケットボールのプロリーグ、NBA。

野球のNLB、アイスホッケーのNHL、アメリカンフットボールのNFLと並ぶアメリカの4大スポーツの1つですが、このNBAの年俸が高額であることが話題となっています。

今回は、NBAの年俸の決め方やチーム・選手の年俸、日本人選手として活躍する八村塁選手の年俸について、詳しく紹介します。

NBAの年俸の決め方

NBAの年俸には、NBAのリーグ全体の収入と、各チームの抱える選手の給料をどう分配するか、というチームマネジメントが関係してきます。

チームの選手構成次第でリーグの優勝が狙えるかもしれない、という短期・長期のチーム運営方針の思惑が絡み合ったマネー・ゲームでNBAリーグが成り立っているともいえるでしょう。

まずはNBAの収入について見ていきましょう。

NBAおよびNBA所属各チームの収入

NBAの収入源は、リーグへのスポンサー契約や放映権

また、30あるNBA各チームの収入源はリーグからの放映権の分配やチーム毎のスポンサー契約、チケット収入やグッズ売上などが挙げられます。

NBAは2016/17シーズンから9年間、総額240億ドルの放映権契約をウォルトディズニー社およびタイムワーナー社と結び、日本円にして約2兆6,400億円の巨額放映権料を得ています。この巨額の契約は、海外市場を見据えてNBAがプレシーズンマッチなどを海外で実施したり、海外営業活動を積極化した結果、世界各地でのNBAコンテンツの人気が上昇したものによります。

NBAの1選手あたり平均年俸

2019年度に実施されたイギリスのスポーツ調査会社のデータによると、NBA選手の2019/20シーズンの1選手あたり平均年俸は約10億円。

これは、MLBの1選手平均の年俸であるといわれる約5億円に2倍の大差をつけての1位です。

この理由には、NBAが2016/17シーズンに契約した巨額放映権収入があるとされています。

NBAのテーマ

NBAには、「毎年面白いリーグでありたい=リーグの戦力を均等化したい」というテーマがあります。

このテーマの背景には、資金力に任せた戦力の強いチームが存在することで、長きに亘り毎年同じチームが勝ってしまうようなリーグではリーグ自体の魅力がなくなる、という考え方があります。

このNBAのテーマを推進する制度が、「サラリーキャップ」と「ラグジュアリータックス」です。

サラリーキャップ(年俸上限制度)とは、チームが各選手に支払う給料の総額に上限を決め、資金面からチームの実力の偏りを防ごうとする制度のこと。 

そして、 サラリーキャップには、ハードキャップとソフトキャップがありますが、ハードキャップは上限を設け、上限を超えることを禁止することであり、ソフトキャップは上限を超えても構わない、というもの。

NBAの場合は、「場合によって」上限を超えても構わないとするソフトキャップにしていますが、「場合によって」の意味は、超えることは構わないが、例外条項を設けるというものであり、この例外条項が多すぎて複雑となっています。

NBAがソフトキャップにする理由は、ハードキャップにした場合を考えると分かりやすいでしょう。ハードキャップの場合、スター選手を抱えるチームほど、キャップ上限ギリギリになり、抱えたい将来有望の若手があぶれてしまい放出せざるを得なくなることがあります。その際、キャップに空きのあるチームからの高額オファーにより、有望な若手が流出してしまうことになりかねません。しかし、例外条項を認めないとリーグ繁栄のためにもならないので、「分かりました。そこはソフトキャップにして柔軟に例外条項を認めましょう。」としているのです。

また、NBAにはチームの総額給料の例外条項を超える部分には、リーグが税金をかけるラグジュアリータックス(贅沢税)という制度があります。

これによって一旦NBAが税金を徴収し、NBAは得た資金を各チームに分配します。

そうすることによって資金力の差を埋める仕組みになっているのです。

NBAの選手別・チーム別年俸

写真提供 = Markus Spiske / Unsplash.com

それでは、最近でのNBA選手の選手別年俸とチーム別年俸について紹介します。

NBAの選手別年俸

2020/21シーズンの選手別年俸について、ベスト5は以下の通りです。

順位選手名所属チーム名年俸
ステフィン・カリーゴールデンステート・ウォリアーズ44.7億円
クリス・ポールフェニックス・サンズ43.0億円
ラッセル・ウエストブルックワシントン・ウィザーズ43.0億円
ジェームズ・ハーデンブルックリン・ネッツ42.9億円
ジョン・ウォールヒューストン・ロケッツ42.9億円

年俸では、ステフィン・カリーが5年連続のトップですが、スポンサー収入を合わせた総収入では、年俸6位のレブロン・ジェームスがトップ(約107億円)です。

NBAチーム別の平均年俸

2019/20シーズンのNBAチーム別の1選手あたりの平均年俸のベスト10は以下の通りです。 

順位チーム名1選手当たり平均年俸
ポートランドトレイル・ブレイザーズ12億2,943万円
ゴールデンステイト・ウォリアーズ12億1,499万円
オーランド・マジック11億6,036万円
オクラホマシティ・サンダー11億5,501万円
デンバー・ナゲッツ11億4,030万円
マイアミ・ヒート11億3,866万円
クリーブランド・キャバリアーズ11億2,747万円
ヒューストン・ロケッツ11億2,177万円
ロサンゼルス・クリッパーズ10億6,154万円
10フィラデルフィア・76ers10億5,579万円

八村選手の年俸

2019年にNBA日本人初のドラフト9位でワシントン・ウィザーズに指名され入団した、八村塁選手の年俸について、その経歴と併せて紹介していきます。

八村塁選手の経歴

八村選手は1998年、富山県出身の選手です。

中学からバスケを始め、高校ではウインターカップ3連覇に貢献。2014年にUー17日本代表に選出され、U−17世界選手権で大会得点王を獲得します。2016年にゴンザカ大学に進学し、NCAAトーナメントに日本人で初出場。その後、2019年にドラフトでNBAのウィザーズに入団しました。

八村選手のプロ1年目の年俸

八村選手の プロ1年目の年俸は371万ドル=約4億円だと言われています。

MLBで活躍している野球の大谷翔平選手の年俸が約7,200万円といわれるので、NBAは相当年俸が高いといえるでしょう。

八村選手のプロ2年目の年俸

ルーキーイヤーの1年目の八村選手の活躍は、日本でもニュースで報道されていましたのでご存知の方も多いでしょう。しかしながら、チームのディフェンス力が弱いことが指摘されているように失点が多く、八村選手の得点は多いものの、負け試合が多く見られました。

プロ2年目の年俸は、スタメンに定着しチームの貢献度は高かったものの、新型コロナ感染症の影響と政府からの年俸25%カットの命令もあったことから、391万ドル=約5億円にとどまりました。

八村選手の年俸以外のスポンサー収入

八村選手は、スポーツ選手のスポンサーに熱心な日清食品やソフトバンクなど、大手企業7社とスポンサー契約を結んでいます。その結果、年俸以外に約10億円の収入があると言われています。

まとめ

NBAはリーグ全体で面白いリーグにしようというテーマのもと、ファンを大切に考えたリーグ運営をしている結果、選手の年俸上昇などの好循環を生み出しています。

八村選手や渡邊選手など、NBAで活躍する日本選手の活躍に注目が集まります。

(TOP写真提供 = Tim Hart / Unsplash.com)


《参考記事一覧》

「サラリーキャップ」とは?3つのキーワードから紐解くNBAのお金事情(Digin’NBA)

NBAで最も稼いでいる選手は誰だ!Forbesが2021年の高給取りランキングを発表 (BASKETBALLKING)

GLOBAL SPORTS SALARIES SURVEY 2019(sportingintelligence)

NBAの年俸をランキングで紹介。平均はどれくらい?(Kinoko Post)

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